A さん(38 歳、初産婦)は妊娠 34 週 1 日、妊婦健康診査でかかりつけの産婦人科を受診した。
「最近、足のむくみが気になります」と訴えている。
身長 160 cm、体重 65 kg で 2 週前から 6 kg 増加している。
血圧 138/94 mmHg、尿蛋白(−)、浮腫+。
超音波検査で推定胎児体重 1,660 g(−1.9 SD)、30 分間の観察で呼吸様運動を 1 回、体幹の動きを 3 回、四肢の伸展屈曲運動を 1 回みとめ、羊水ポケット 3 cm、子宮頸管長 30 mm であった。
子宮収縮の自覚はあり、時折、痛みを感じることがある。
胎児心拍数陣痛図(別冊No. 2)を別に示す。
A さんは妊娠 34 週 1 日から入院管理されていたが、妊娠 36 週 4 日、前期破水の診断となった。
体温 36.7 ℃、内診所見は、子宮口 1 cm 開大、展退度 30 %、 Station −2、児頭が触れる。
超音波検査で推定胎児体重 2,080 g (−1.8 SD)、羊水 ポケット 1 cm。
胎動の自覚は良好で、不規則な子宮収縮の自覚がある。
A さんへの治療で正しいのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
Aさんは妊娠36週4日で前期破水と診断され、正期産(37週)に達する前の破水です。
体温は36.7℃で感染徴候はなく、子宮口1 cm開大、羊水ポケットは1 cmに減少しています。
【選択肢別解説】
1:× 床上安静は必要ありません。
安静による感染予防や分娩遅延の効果は示されておらず、血栓症のリスクを高めます。
2:○ 前期破水では、子宮内への上行性感染(絨毛膜羊膜炎)を予防するために抗菌薬を投与します。
B群溶血性レンサ球菌(GBS)の保菌状況が不明な場合も、母子感染予防として投与が勧められます。
3:× 人工羊水注入は、分娩中の臍帯圧迫による変動一過性徐脈が続く場合などに検討される処置です。
前期破水の標準的な治療ではありません。
4:× 胎児の肺成熟を促すステロイドは、妊娠34週未満で早産の可能性がある場合に投与します。
妊娠36週では適応になりません。
5:× 妊娠34週以降の前期破水では、子宮収縮抑制薬で妊娠を延長しても利点は少なく、感染のリスクが高まります。
【ポイント】
前期破水の管理は妊娠週数で変わり、34週未満では妊娠延長とステロイド投与、34週以降では分娩を前提とした管理と感染予防が基本です。
破水後は体温、羊水の性状(色・におい)、胎児心拍数を観察して感染の早期発見に努めます。