A さん(38 歳、初産婦)は、妊娠 41 週 0 日、身長 152 cm、体重 80 kg(非妊時体重 72 kg)である。
午前 4 時に陣痛発来し、午前 7 時に入院した。
現在は入院から 1 時間が経過し、陣痛間欠 8 分、陣痛発作 30 秒、胎児心拍数陣痛図は reassuring fetal status である。
体温 36.6 ℃、脈拍 78/分、血圧 134/80 mmHg。
尿蛋白(−)、尿糖(−)、Seitz〈ザイツ〉法(±)。
妊娠 40 週 3 日の妊婦健康診査で推定胎児体重 3,500 g、BPD 9.7 cm、AFI 12.0 cm であった。
A さんは子宮口 6 cm 開大後、陣痛促進のためオキシトシン点滴静脈内注射が開始された。
その後、順調に分娩が進行し、子宮口全開大から 1 時間 30 分で児頭まで娩出した。
引き続き前在肩甲娩出術を試みたが娩出しない。
このときの対応で正しいのはどれか。
2 つ選べ。
正解を2つ選んでください。
正答3・5
解説
正解は3と5です。
肥満のある高年初産婦で、オキシトシンによる陣痛促進の後に児頭は娩出されましたが、前在肩甲が娩出されない肩甲難産の場面です。
前在肩甲が母体の恥骨結合に引っかかっているため、骨盤の形を変えたり肩を内側へ押したりして解除します。
【選択肢別解説】
1:× 子宮底を圧迫すると、肩甲が恥骨結合にさらに強く押しつけられます。
肩甲難産を悪化させるため、行ってはいけません。
2:× 児頭を強く牽引すると、腕神経叢麻痺(エルブ麻痺など)や鎖骨骨折を起こします。
肩甲難産では強い牽引をしてはいけません。
3:○ 恥骨上縁圧迫法は、恥骨結合の上から前在肩甲を児の胸側へ押し込む方法です。
肩幅が狭くなって斜めの向きになり、恥骨結合の下をくぐりやすくなります。
4:× オキシトシンを増量して子宮収縮を強めても、肩甲が恥骨結合に押しつけられるだけです。
肩甲難産の解除にはなりません。
5:○ マックロバーツ体位は、産婦の両大腿を腹部に強く引き寄せる体位です。
骨盤が回転して恥骨結合が持ち上がり、前在肩甲の嵌頓が解けやすくなります。
【ポイント】
肩甲難産では、まず応援を呼び、マックロバーツ体位と恥骨上縁圧迫法を行うのが基本です。
巨大児、母体の肥満や糖尿病、遷延分娩は肩甲難産のリスク因子です。