A さん(32 歳、初産婦)は、妊娠 39 週 6 日、規則的な子宮収縮と痛みを自覚し、午前 3 時に分娩予定の産婦人科を受診した。
胎児は頭位、子宮口 5 cm 開大、展退度 80 %、Station −1。
無痛分娩を希望し、硬膜外麻酔により痛みが緩和された。
午前 11 時に子宮口全開大、Station +4、午後 2 時に子宮口全開大、Station +4、矢状縫合は縦で小泉門が 0 時方向に触れる。
分娩停止の適応で鉗子遂娩術が実施されることになった。
A さんの出血は止まり、会陰切開部の縫合が行われた。
午後 6 時、助産師が訪室すると「お尻のあたりが痛いです。便がしたい感じもあります」と訴えて顔をしかめている。
会陰部は軽度腫脹がみられるが、縫合不全はなく、パッドへの悪露の付着は少量である。
このときの助産師の対応で正しいのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
鉗子分娩から約4時間後、会陰縫合後の褥婦が殿部の痛みと便意を訴えて顔をしかめています。
会陰部に縫合不全はなく、悪露は少量であることから、腟壁血腫などの産道血腫が疑われます。
【選択肢別解説】
1:○ 腟壁血腫は腟の奥に生じるため、外から見ても気づきにくいです。
内診で腟壁の腫脹や圧痛を確認し、血腫を見つけたら速やかに医師に報告します。
2:× 便意は血腫が直腸を圧迫しているために生じている可能性があります。
トイレでいきむと血腫が大きくなるおそれがあり、原因を確認せずに排便を促すのは危険です。
3:× 原因を確かめずに鎮痛薬で痛みを抑えると、血腫の発見が遅れます。
血腫が大きくなると、ショックに至ることもあります。
4:× 悪露は少量で、子宮からの出血を示す所見はありません。
子宮収縮薬は腟壁血腫の治療にはなりません。
【ポイント】
鉗子分娩や吸引分娩の後は、軟産道の損傷による外陰・腟壁血腫が起こりやすくなります。
肛門の圧迫感や強い会陰部痛を訴えたら、まず血腫を疑って観察します。