A さん(38 歳、初産婦)は妊娠 39 週 6 日に経腟分娩に至り、胎盤が娩出された直後から強い下腹部痛と多量の出血を認めた。
腹部で子宮底を触れず、腟内に超手拳大の腫瘤を触れる。
このときの診断で正しいのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
胎盤娩出直後からの強い下腹部痛と多量の出血に加え、腹部で子宮底が触れず、腟内に超手拳大の腫瘤を触れています。
子宮底が内側に陥入して腟内へ反転した子宮内反症の所見です。
【選択肢別解説】
1:× 頸管裂傷では、子宮収縮が良好なのに鮮紅色の出血が続きます。
腹部で子宮底は触れ、腟内に腫瘤を触れることはありません。
2:× 弛緩出血では、子宮が軟らかく大きくなりますが、腹部で子宮底は触れます。
腟内に腫瘤を触れる所見はなく、強い疼痛も典型的ではありません。
3:○ 子宮内反症と診断できます。
腹部で子宮底を触れないことと、腟内に反転した子宮体部を腫瘤として触れることが決め手です。
強い痛みは、子宮を支える靱帯や腹膜が牽引されるために生じます。
4:× 癒着胎盤では、胎盤が子宮壁から剝がれず娩出されません。
本例は胎盤が娩出されており、子宮底を触れない所見も説明できません。
【ポイント】
子宮内反症は、出血量に見合わない強いショック症状(神経原性ショック)を伴うことがあります。
治療は速やかな用手整復で、胎盤剝離前の臍帯の強い牽引が主な原因です。