A さん(31 歳、 1 回経産婦)は既往歴に特記すべきことはない。
妊娠経過は順調であった。
妊娠 38 週 6 日に陣痛発来し、 2 時に入院した。
分娩第 2 期遷延のためオキシトシンを用いて陣痛を促進し、23 時に 2,980 g の男児を出産した。
Apgar〈アプガー〉スコアは 1 分後、 5 分後ともに 9 点であった。
分娩所要時間 22 時間、分娩時出血量 450 mL、会陰裂傷Ⅱ度、分娩後 2 時間の母児の経過は良好であった。
退院 2 週、A さんから「昨夜から左のおっぱいが痛いです。朝食後、急に寒気がして熱を測ったら 38.6 ℃ありました」と病院に電話があり、母乳外来を受診するよう勧めた。
30 分後、A さんは夫に付き添われて来院した。
このときの観察項目で優先度が高いのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
退院2週の褥婦が、左乳房の痛みと38.6℃の発熱、悪寒を訴えています。
授乳期の片側の乳房痛と急な発熱から、乳腺炎がまず疑われます。
【選択肢別解説】
1:× 乳房の外傷は、通常の授乳中に起こることは少なく、症状の経過からも優先して確認する項目ではありません。
2:× 副乳は腋窩などにみられることがありますが、乳腺炎の診断との関連は低く、優先度は低いです。
3:× 乳頭亀裂は細菌の侵入経路となり、乳腺炎の誘因になります。
確認すべき項目ですが、乳腺炎そのものの状態を評価するにはまず硬結の観察が優先されます。
4:○ 乳腺炎では、乳汁のうっ滞や炎症が起こった部分に硬結(しこり)ができ、発赤・熱感・圧痛を伴います。
硬結の有無と範囲は、乳腺炎の診断と重症度、膿瘍の形成の判断に欠かせない観察項目です。
5:× 乳房の大きさの左右差は、授乳状況によって生じることがあり、乳腺炎の判断には直接結びつきません。
【ポイント】
乳腺炎の観察は「硬結の有無と範囲」「発赤・熱感・圧痛」「全身の発熱」を中心に行います。
ケアの基本は、授乳や搾乳で乳汁のうっ滞を解消することです。