A さん(38 歳、 1 回経産婦)は妊娠経過中、特に異常の指摘はなかった。
妊娠 37 週 2 日、妊婦健康診査時の胎児心拍数陣痛図で胎児の遷延性徐脈を認めたため緊急帝王切開術で B ちゃん(女児)を出産した。
帝王切開の手術中、羊水混濁は認めなかった。
B ちゃんは出生時、自発呼吸がなく筋緊張も低下していた。
すぐに蘇生の初期処置を行ったが自発呼吸は出現せず、聴診で心拍数 40/分のため出生後 1 分からバッグマスク換気にて人工呼吸を開始した。
その後、有効な換気ができていることを確認しつつバッグマスク換気を継続したが児の心拍数上昇が認められず、胸骨圧迫を行うことにした。
B ちゃんは新生児蘇生によって心拍数は上昇したが、自発呼吸が弱いため気管挿管後に NICU へ入院した。
生後 2 時間、B ちゃんに対して低体温療法の適応を検討することにした。
適応の検討に必要な情報はどれか。
正答3
解説
正解は3です。
低体温療法は、低酸素性虚血性脳症の新生児の脳障害を軽減するための治療で、生後6時間以内に開始する必要があります。
適応の判断には、在胎週数、出生時の重度の仮死を示す所見、中等度以上の脳症の神経学的所見が用いられます。
【選択肢別解説】
1:× 体温は低体温療法を行う際の管理指標です。
適応を判断するための基準項目ではありません。
2:× 頭囲は脳の発育や水頭症などの評価に用いられます。
低体温療法の適応基準には含まれません。
3:○ 吸啜反射の低下や消失は、中等度以上の脳症を判断する神経学的所見の一つです。
意識障害に加え、筋緊張の低下、吸啜反射の低下、異常反射、けいれんなどを確認して適応を判断します。
4:× 適応基準で用いられるApgar(アプガー)スコアは、5分値ではなく10分値です。
10分値が5点以下であることが重度の仮死を示す基準の一つです。
【ポイント】
低体温療法の適応は「在胎36週以上で、10分後Apgarスコア5点以下・10分後も蘇生を要する・生後60分以内の高度アシドーシスのいずれかがあり、中等度以上の脳症の所見がある」ことが基本です。
開始は生後6時間以内という時間的制約があります。