A さん(38 歳、 1 回経産婦)は妊娠経過中、特に異常の指摘はなかった。
妊娠 37 週 2 日、妊婦健康診査時の胎児心拍数陣痛図で胎児の遷延性徐脈を認めたため緊急帝王切開術で B ちゃん(女児)を出産した。
帝王切開の手術中、羊水混濁は認めなかった。
B ちゃんは出生時、自発呼吸がなく筋緊張も低下していた。
すぐに蘇生の初期処置を行ったが自発呼吸は出現せず、聴診で心拍数 40/分のため出生後 1 分からバッグマスク換気にて人工呼吸を開始した。
その後、有効な換気ができていることを確認しつつバッグマスク換気を継続したが児の心拍数上昇が認められず、胸骨圧迫を行うことにした。
B ちゃんには低体温療法の適応があると判断され、治療の準備を始めた。
生後 3 時間、低体温療法の準備中に急な心拍数の上昇と眼球運動の停止、両肘を律動的に屈曲させる動きが認められた。
一連の症状は約 30 秒間持続し、その間、他動的に上肢の動きを制限しても律動的な筋収縮は続いていた。
B ちゃんの症状の原因で可能性が高いのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
低酸素性虚血性脳症が疑われる新生児で、心拍数の急な上昇、眼球運動の停止、両肘の律動的な屈曲が約30秒続いています。
他動的に動きを抑えても律動的な筋収縮が続いたことが、判断の決め手になります。
【選択肢別解説】
1:× 逃避反射は、痛み刺激などに対して手足を引っ込める反射です。
刺激がない状況で律動的な屈曲が持続する状態とは異なります。
2:× 落陽現象は、眼球が下方に偏位して黒目が下まぶたに沈んで見える状態です。
水頭症や核黄疸などでみられ、四肢の律動的な動きは伴いません。
3:○ 新生児発作(けいれん)では、四肢の律動的な間代性の動きや眼球運動の異常、頻脈などの自律神経症状がみられます。
他動的に抑えても動きが止まらないことが、振戦(ジッタリネス)との重要な鑑別点です。
4:× ストレス行動は、あくびや驚愕、四肢の伸展、皮膚色の変化などで、刺激を除けばおさまります。
本例のように律動的な収縮が続くことはありません。
5:× 迷走神経反射では徐脈や血圧低下が起こります。
本例では心拍数が上昇しているため該当しません。
【ポイント】
新生児発作と振戦の鑑別は「抑制で止まらない、眼球運動や自律神経症状を伴う」なら発作です。
低酸素性虚血性脳症は新生児発作の最も多い原因です。