A さん(35 歳、1回経産婦)は陣痛発来後3時間の経過で 4,200 g の男児を経腟分娩した。
会陰切開の必要はなく会陰裂傷もなかった。
分娩後1時間のバイタルサインは脈拍 70/分、整、血圧 120/80 mmHg であった。
分娩後2時間の時点で脈拍 100/分、整、血圧 80/60 mmHg で「少し前から肛門の奥あたりがとても痛くなってきた」と訴えた。
子宮底部は臍下4横指、子宮収縮は良好であった。
A さんは苦悶様表情を浮かべ、額に冷汗が認められた。
出血量は正常範囲内であった。
助産師の対応で正しいのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
Aさんは急速に4,200 gの児を出産し、分娩後2時間で脈拍が増え、血圧が下がっています。
子宮収縮は良好で外出血も正常範囲なのに、肛門の奥の強い痛みと冷汗がある点に注目します。
【選択肢別解説】
1:× 子宮収縮は良好で、弛緩出血ではありません。
子宮底の輪状マッサージは原因への対応になりません。
2:× 子宮収縮薬は弛緩出血に用いる薬です。
子宮収縮が良好なため適応になりません。
3:○ 肛門の奥の強い痛みは、腟壁などの深い部分に血液がたまる産道血腫(腟壁血腫)の特徴です。
脈拍100/分、血圧80/60 mmHgで、脈拍を収縮期血圧で割ったショック指数は1.25となり、外から見えない大量出血によるショックが疑われます。
輸液や輸血に備えて、末梢静脈路確保の準備をします。
4:× ショック状態でトイレまで歩かせると、転倒や意識消失の危険があります。
安静にさせる必要があります。
5:× 左側臥位は、妊娠中に大きな子宮が下大静脈を圧迫するのを防ぐための体位です。
産後のショックでは仰臥位で下肢を挙上します。
【ポイント】
「外出血が少ないのにショック症状と肛門や会陰の痛みがあれば産道血腫」を疑います。
巨大児や急産、器械分娩がリスク因子で、内診や視診で血腫を確認し、医師に報告します。