保健所の保健師は指定難病の A さん(78 歳、女性)の家庭訪問をした際に、A さんの腕に多くの新旧のあざがあることに気付いた。
詳細を聞くと、介護者である同居の息子が毎日のように暴力を振るうと話し、胸部や腹部にもあざが確認できた。
保健師は市の高齢福祉課と連携して支援するために情報共有をしたいと考えたが、 A さんの同意が得られなかった。
保健所に戻った保健師がこの日に行う高齢者虐待への対応で適切なのはどれか。
福祉事務所に通報する。 市の高齢福祉課と情報共有する。 1 週間後の家庭訪問の計画を立てる。 A さんに電話をして同意が得られるまで説得する。 解答・解説を見る 正答 2
解説 正解は2です。
Aさんの体には新旧のあざが多数あり、胸部や腹部にもあざがみられ、息子から毎日のように暴力を受けていると話しています。
これは養護者による身体的虐待であり、生命や身体に重大な危険が生じているおそれがあります。
高齢者虐待防止法では、このような場合、発見した者は速やかに市町村に通報しなければならないとされています。
【選択肢別解説】
1:× 福祉事務所への通報は適切ではありません。
高齢者虐待防止法で定められた通報先は市町村であり、市の高齢者虐待の対応窓口に伝える必要があります。
2:○ 市の高齢福祉課と情報共有することが適切です。
生命や身体に重大な危険がある場合の通報は法律上の義務であり、本人の同意が得られなくても行うことができます。
通報は守秘義務に関する法律の規定に妨げられないことも、法律に明記されています。
当日中に市と情報を共有することで、事実の確認や安全確保の対応を速やかに始められます。
3:× 1週間後の家庭訪問を計画するのは適切ではありません。
毎日のように暴力を受けている状況では、1週間待つ間にさらに重大な被害が生じるおそれがあります。
4:× 同意が得られるまで電話で説得するのは適切ではありません。
同意がなくても通報できるうえ、説得に時間をかけると対応が遅れます。
電話のやりとりが息子に知られ、Aさんの危険が増すおそれもあります。
【ポイント】
養護者による高齢者虐待では、生命・身体に重大な危険がある場合は市町村への通報が義務、それ以外は努力義務です。
本人の同意がなくても、命を守るための通報や情報共有はためらわずに行います。