A さん(85 歳、男性)は息子(50 歳)と 2 人暮らしで、介護保険サービスを利用していない。
民生委員から市役所の保健師に「A さんが最近痩せてきて、着替えもできていない様子。ここ数日見かけない。息子はたまにアルバイトをしているがほとんど A さんの年金で生活をしている」と相談があった。
保健師が息子と話をすると「 1 年前にかかりつけの医師から父は認知症だと説明された」 「父はわざと自分を困らせようと失禁している」と言う。
保健師は息子の大変さをねぎらい、息子へ A さんの介護保険サービスを早急に利用するように伝えるが、息子は「お金がもったいない。このまま寝かせておく」と拒否した。
保健師の対応で優先度が高いのはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
息子はAさんの失禁を「わざと」と捉え、介護保険サービスの利用を拒否し、「このまま寝かせておく」と話しています。
A さんは痩せて入浴もできておらず、介護放棄(ネグレクト)による生命の危険が高い状態です。
息子の同意が得られないまま放置すると重大な結果を招くおそれがあります。
【選択肢別解説】
1:× 息子との継続した面接は、長期的な関係づくりには必要です。
しかし、Aさんの生命の危険が高い現状では、面接を続けるだけでは対応が遅れます。
2:× 民生委員の見守りを続けるだけでは、Aさんの状態は改善しません。
ネグレクトが疑われる状況で、行政として必要な対応をとらないことになります。
3:× Aさんには年金収入があり、生活保護の申請が必要かどうかは現時点では不明です。
サービス利用を拒否している問題の解決にもなりません。
4:○ 老人福祉法では、やむを得ない事由で介護保険サービスを利用できない場合、市町村が措置によりサービスを提供できます。
高齢者虐待防止法でも、生命や身体に重大な危険がある場合は措置を講じるとされており、優先して検討すべき対応です。
5:× 認知症の症状と対応の指導は、息子の理解を深めるうえで役立ちます。
ただし、サービスを拒否し放置が続いている状況では、まずAさんの安全確保が優先です。
【ポイント】
やむを得ない事由による措置は、虐待などで本人や家族が契約によるサービス利用を拒む場合に、市町村の判断で行えます。
虐待対応では、養護者への支援と並行して、高齢者本人の安全確保を最優先にします。