製造業の A 社は従業員 500 名、平均年齢 42 歳である。
高年齢労働者は現在 20 名だが、会社は高年齢労働者の活用を進めていく方針である。
製造現場で働く従業員(63 歳、男性)が工場内の通路で転倒する事故が起きた。
事故後に、A 社の保健師が安全管理者と面談した。
安全管理者は「怪我が大したことなくてよかったが、どこで転ぶか分からないから怖い。貼り紙など注意喚起を行ってきたのに事故が起きた。高年齢労働者を製造現場で働かせるのは不安だ」と保健師に話した。
A 社の保健師は、今後の事故予防の参考にするため高年齢労働者の数名に話を聞いた。
「機器の警告音には注意している」 「棚の影となる部分が暗く見づらい」 「年齢だけで特別扱いはされたくない」 「上司に会うたびに体調確認されるが、体調が悪ければ自分で伝える」という思いが聴取された。
高年齢労働者の事故予防対策として、保健師が会社に提案することで適切なのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
高年齢労働者から聴取した意見のうち、「棚の影となる部分が暗く見づらい」は作業環境の問題を示しています。
加齢による視機能の低下を踏まえ、環境を改善することが事故予防につながります。
【選択肢別解説】
1:× 加齢による難聴は高音域から聞こえにくくなります。
警告音を高音にすると、かえって高年齢労働者に聞こえにくくなります。
2:○ 加齢によって暗い場所での視力や明暗への順応が低下します。
「暗く見づらい」という声を受けて照明増設の必要性を確認することは、転倒予防として適切です。
3:× 体調確認を自己申告だけにすると、本人が気づかない不調を見逃すおそれがあります。
安全管理のためには、本人の思いに配慮しつつ確認の方法を工夫することが必要です。
4:× 作業スピードを他の労働者と同じにすると、高年齢労働者の身体機能の特性に配慮していないことになります。
無理な作業は事故の危険を高めます。
【ポイント】
高年齢労働者の事故予防では、本人の努力より作業環境の改善(照明、段差解消、手すりなど)を優先します。
加齢による変化として、高音域の聴力低下、暗順応の低下、平衡機能の低下を押さえておきましょう。