A さん(37 歳、 2 回経産婦)はこれまでの出産はいずれも正常分娩であった。
診療所に通院し、今回の妊娠経過中に異常の指摘はなかった。
妊娠 40 週 5 日、前期破水で入院した。
午前 8 時には、第 2 頭位で内診所見は子宮口 3 cm 開大、展退度 50 %、 Station ±0、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は後方であった。
分娩第 2 期遷延、分娩停止のため吸引分娩が施行され、 4 回目の吸引によって、 3,880 g の男児が娩出された。
羊水は泥状であったが、出生直後から啼泣があり、 Apgar〈アプガー〉スコアは 1 分後 7 点(皮膚色−2 点、筋緊張−1 点)、 5 分後 8 点 (皮膚色−1 点、筋緊張−1 点)、臍帯動脈血 pH 7.20 であった。
クベースに収容して経過観察していたところ、出生 2 時間後から頭部の腫瘤が増大してきた。
暗赤色で骨縫合を超えており、指で押すと陥凹する。
体温 37.0 ℃、呼吸数 70/分、心拍数 170/分で鼻翼呼吸がみられる。
新生児への対応で予測されるのはどれか。
2 つ選べ。
正解を2つ選んでください。
正答4・5
解説
正解は4と5です。
吸引分娩(4回の吸引)で出生した児で、出生2時間後から頭部の腫瘤が増大しています。
暗赤色で骨縫合を超え、押すと陥凹する腫瘤は帽状腱膜下血腫の所見です。
心拍数170/分、呼吸数70/分、鼻翼呼吸があり、出血による循環血液量の減少でショックに進むおそれがあります。
【選択肢別解説】
1:× 光線療法は、血腫が吸収される過程で生じる高ビリルビン血症に対して後に行う治療です。
現時点で優先される対応ではありません。
2:× 腫瘤の穿刺は行いません。
感染や再出血の危険があり、血腫は自然に吸収されるのを待つのが原則です。
3:× 脳低温療法の適応ではありません。
脳低温療法は低酸素性虚血性脳症に対する治療で、本例はApgarスコアや臍帯動脈血pHから重い仮死にはあたりません。
4:○ 静脈路の確保が予測されます。
帽状腱膜下腔には大量の血液がたまりうるため、輸液や輸血に備えて静脈路を確保します。
5:○ NICUへの搬送が予測されます。
頻脈と多呼吸からショックへの進行が懸念され、集中的な全身管理が必要です。
【ポイント】
頭血腫は骨膜下の出血で骨縫合を超えず、帽状腱膜下血腫は骨縫合を超えて急速に拡大する点で区別します。
吸引分娩後の児は、頭囲の増大や腫瘤の拡大、バイタルサインの変化を経時的に観察します。