A さん(30 歳、1回経産婦)は 28 歳のときに子宮鏡下手術によって子宮粘膜下筋腫を切除した。
妊娠 39 週6日で自然破水、破水後1日経過したが陣痛発来せず、子宮収縮薬の点滴静脈注射による分娩誘発を開始した。
開始後6時間、A さんは突然激しい腹痛を訴え、その後、陣痛が減弱した。
顔面蒼白となり呼吸が速くなった。
胎児心拍数陣痛図では変動一過性徐脈が出現した後、高度徐脈となった。
内診所見は、子宮口全開大、Station +2 で、異常な腟からの出血はみられなかった。
このときの A さんの状態で最も考えられるのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
子宮手術の既往がある産婦に子宮収縮薬を使用中、突然の激しい腹痛のあとに陣痛が弱まり、ショック症状と胎児の高度徐脈が出現しています。
陣痛の減弱と外出血が目立たない点が鑑別の鍵です。
【選択肢別解説】
1:× 子宮内反は胎盤娩出期(分娩第3期)に起こる合併症です。
本事例は子宮口全開大で胎児がまだ娩出されていない時期のため当てはまりません。
2:○ 子宮粘膜下筋腫の切除で子宮壁に瘢痕があり、子宮収縮薬の使用も子宮破裂のリスク因子です。
突然の激痛の後に陣痛が減弱・消失し、顔面蒼白・頻呼吸などのショック症状と胎児の高度徐脈が生じるのは子宮破裂の典型的な経過です。
出血は腹腔内に起こるため、腟からの出血が目立たないことも一致します。
3:× 腟壁裂傷は児の娩出に伴って生じるもので、児娩出前のこの時期には起こりません。
また、陣痛の減弱やショックを伴う激痛は説明できません。
4:× 常位胎盤早期剝離でも腹痛と胎児徐脈は起こりますが、子宮は板状に硬くなり、陣痛は弱まるのではなく持続的な収縮になります。
陣痛が減弱したことは子宮破裂を強く示します。
【ポイント】
子宮破裂の徴候は「突然の激痛、陣痛の減弱・消失、ショック、胎児心拍異常」です。
帝王切開や子宮筋腫核出術などの子宮手術歴がある産婦に子宮収縮薬を使う際は、特に注意して観察します。