令和3年4月1日に締結された賃貸借契約の終了に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。
ア 賃貸人と賃借人に紛争があり、賃借人があらかじめ賃料の支払を拒絶する意思を書面にて明らかにしており、実際に賃料の滞納が3か月に及ぶ場合、賃貸人は催告することなく賃貸借契約を解除することができる。
イ 賃料支払義務は賃借人の中核的義務である以上、1回でも賃料不払があれば、賃貸人との間の信頼関係が破壊されたとして、賃貸人は賃貸借契約を解除することができる。
ウ 賃貸借契約が解除されると、解除の遡及効により契約当初に遡り解除の効果が生ずる。
エ 家賃債務保証業者が連帯保証人となっている場合において、当該業者が賃借人による賃料不払に関して保証債務を履行していても、信頼関係が破壊されたとして、賃貸人による賃貸借契約の解除が認められる場合がある。
正答4
解説
正解は4です。
令和3年に締結された賃貸借契約(2020年4月施行の改正民法が適用)について、解除の要件と効果を問う問題です。
ア〜エの○×は記述が適切かどうかを示し、適切な記述(○)の組合せを選びます。
【記述別解説】
ア:○ 債務者が債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、催告をせずに解除できます(民法542条1項2号)。
賃借人が書面で支払拒絶を明らかにし、実際に3か月分を滞納していれば、信頼関係も破壊されたといえます。
したがって、無催告解除が認められます。
イ:× 賃貸借契約の解除には、当事者間の信頼関係が破壊されたことが必要です(信頼関係破壊の法理)。
1回の賃料不払いだけでは、通常は信頼関係の破壊とまではいえず、解除は認められません。
ウ:× 賃貸借の解除は、将来に向かってのみ効力を生じます(民法620条)。
継続的な契約なので、契約当初にさかのぼる遡及効はありません。
エ:○ 家賃債務保証業者が保証債務を履行しても、賃借人自身の賃料不払いという事実は消えません。
裁判例にも、保証会社の代位弁済があっても賃借人の不払いを理由に信頼関係の破壊を認め、解除を認めたものがあります。
適切な記述はアとエなので、正解は4です。
【ポイント】
解除は催告解除(民法541条)が原則で、賃貸借では信頼関係破壊の法理によって制限されます。
保証会社の弁済は賃貸人の損害を補うものの、賃借人の債務不履行の評価を消すものではありません。