「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改定版)」(国土交通省住宅局平成23年8月。以下、各問において「原状回復ガイドライン」という。)に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。
ア 借主の負担は、建物、設備等の経過年数を考慮して決定するものとし、経過年数による減価割合は、償却年数経過後の残存価値が10%となるようにして算定する。
イ 中古物件の賃貸借契約であって、入居直前に設備等の交換を行っていない場合、入居時点の設備等の価値は、貸主又は管理業者が決定する。
ウ 借主が通常の住まい方をしていても発生する損耗であっても、その後の借主の管理が悪く、損耗が拡大したと考えられるものは、借主が原状回復費用を全額負担する。
エ 経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能なものを借主が故意又は過失により破損した場合、借主は新品に交換する費用を負担する。
正答1
解説
正解は1です。
この問題は、原状回復ガイドラインにおける借主負担の算定方法を問うものです。
ア〜エはいずれもガイドラインの考え方と異なり、適切なものはありません。
【記述別解説】
ア:× 経過年数による減価は、耐用年数経過後の残存価値を1円とするように算定します。
残存価値を10%とするのは、平成23年の再改定前の考え方です。
イ:× 中古物件の入居時点の設備等の価値は、貸主又は管理業者が一方的に決めるものではありません。
ガイドラインは、契約当事者が確認のうえ、あらかじめ協議して決めることが適当としています。
ウ:× 借主の管理が悪く損耗が拡大した場合、その部分は借主の負担となります。
しかし、全額ではなく、経過年数を考慮して負担割合を減らした範囲にとどまります。
エ:× 経過年数を超えた設備等を故意・過失で壊しても、新品への交換費用を負担するわけではありません。
借主が負担するのは、本来機能していた状態に戻すための工事費や人件費等とされています。
いずれも不適切なので、適切なものは「なし」で、正解は1です。
【ポイント】
減価の残存価値は「1円」、入居時の価値は「当事者の協議」で決める点が頻出です。
耐用年数を過ぎた設備でも、使用可能な状態に戻す費用は借主負担となることがあります。