Aを貸主、Bを借主とする建物賃貸借においてCを連帯保証人とする保証契約に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
ただし、それぞれの選択肢に記載のない事実はないものとする。
ア Bが賃料の支払を怠ったので、AがCに対して保証債務履行請求権を行使した場合、Cは、Bには弁済する資力があり、かつその執行が容易である旨を証明すれば、AがBの財産について執行を行わない間は保証債務の履行を免れる。
イ Aの賃料債権を被担保債権とする抵当権がD所有の甲不動産に設定されていた場合、Dの負う責任は甲不動産の範囲に限られるところ、Cの負う責任はCの全財産に及ぶ。
ウ Cが自然人ではなく法人の場合は、極度額を書面で定めなくてもよい。
エ Bの賃借人の地位がAの承諾の下、第三者に移転した場合、Cが引き続き連帯保証債務を負担することを「保証の随伴性」という。
正答4
解説
正解は4です。
この問題は誤っている記述の組合せを選びます。
記述別解説の○×は、記述そのものが正しい(○)か誤り(×)かを示します。
連帯保証の性質と、2020年4月施行の改正民法による個人根保証の規律を問う問題です。
【記述別解説】
ア:× 記述は検索の抗弁権(民法453条)の内容ですが、連帯保証人にはこの権利がありません(民法454条)。
連帯保証人Cは、Bに弁済する資力があることを証明しても、保証債務の履行を免れることはできません。
イ:○ 物上保証人Dは、担保に提供した甲不動産の価値の範囲でしか責任を負いません。
これに対し、保証人Cは保証債務について自己の全財産で責任を負います。
ウ:○ 極度額を書面で定めなければならないのは、保証人が個人である根保証契約です(民法465条の2)。
保証人が法人の場合は、極度額を定めなくても保証契約は無効になりません。
エ:× 「保証の随伴性」とは、主たる債権が譲渡されると、保証債務もそれに伴って移転する性質をいいます。
借主(債務者)の地位が移転した場合、保証人は原則として新しい借主の債務を保証しません。
保証人は特定の借主を信頼して保証しているからです。
誤っているものはアとエなので、正解は4です。
【ポイント】
連帯保証人には「催告の抗弁権」も「検索の抗弁権」もありません。
賃貸借の保証は根保証に当たるため、保証人が個人なら極度額の書面での定めが必須です。