管理受託方式の賃貸管理業務に関する次の記述のうち、不適切なものの組合せはどれか。
ア 貸主たる委託者が死亡した場合、特約がない限り、相続人が管理受託契約上の地位を相続する。
イ 賃貸住宅管理業者登録制度における賃貸住宅管理業者は、管理受託契約の終了その他の事由により管理事務が終了したときは、遅滞なく、当該賃貸建物の借主に対し、その旨を通知しなければならない。
ウ 賃貸住宅管理業者登録制度における賃貸住宅管理業者は、管理受託契約を締結しようとするときは、その契約が成立するまでの間に、貸主に対して、管理受託契約の内容及びその履行に関する事項に関し、賃貸不動産経営管理士等をして、必要事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
エ 管理業者が貸主の代理として内容証明郵便を送付する行為は弁護士法に違反することはない。
正答2
解説
正解は2です。
管理受託方式の管理業務について、民法の委任の規定、登録規程のルール、弁護士法との関係を問う問題です。
不適切な記述(×)の組合せを選ぶ問題で、不適切なのはアとエです。
【記述別解説】
ア:× 貸主である委託者が死亡すると、特約がない限り、管理受託契約は終了します。
管理受託契約は委任(準委任)契約であり、委任者の死亡は委任の終了事由です(民法653条1号)。
そのため、相続人が契約上の地位を当然に引き継ぐことはありません。
イ:○ 登録規程では、管理事務が終了したときは、遅滞なく借主にその旨を通知することとされていました。
管理業者が交代したことを知らないまま、借主が前の管理業者に家賃を支払うといった混乱を防ぐためです。
ウ:○ 管理受託契約の締結前に、賃貸不動産経営管理士等をして、書面を交付して重要事項を説明させる必要がありました。
契約が成立するまでに説明することで、貸主が契約内容を理解したうえで判断できるようにするためです。
エ:× 貸主の代理として内容証明郵便を送付する行為は、弁護士法に違反するおそれがあります。
弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件について代理などを業として行うことは禁止されています(弁護士法72条)。
紛争性のある案件で、管理業者が貸主の代理人として督促や解除の通知を送ることは、非弁行為に当たり得ます。
以上より、不適切なものの組合せはアとエで、正解は2です。
【ポイント】
委任は、委任者または受任者の死亡や破産手続開始決定、受任者の後見開始の審判によって終了します(民法653条)。
一方、賃貸借は当事者の死亡では終了しないという違いを押さえましょう。