正答1
解説
正解は1です。
賃貸借における借主の義務(用法遵守・保管・通知・保存行為の受忍)を、出題当時の民法に基づいて問う問題です。
【選択肢別解説】
1:○ 用法遵守義務違反による損害賠償請求は、貸主が物件の返還を受けた時から1年以内に行う必要があります。
改正前民法621条が準用する600条により、このような期間制限が設けられています。
期間を過ぎると請求できなくなるため、貸主は明渡し後速やかに損害を確認する必要があります。
2:× 貸主が親族であっても、借主は善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって物件を保管しなければなりません(民法400条)。
「自己の財産に対するのと同一の注意」で足りるのは、無償で物を預かる受寄者などの場合です(民法659条)。
賃貸借は有償契約なので、貸主が親族かどうかで注意義務の程度は変わりません。
3:× 貸主がすでにその事実を知っている場合、借主に通知義務はありません。
借主は、物件について権利を主張する者がいるときは、遅滞なく貸主に通知しなければなりません(民法615条本文)。
しかし、貸主がすでにこれを知っているときは、通知は不要とされています(同条ただし書)。
4:× 貸主が保存を超える行為をしようとする場合、借主はこれを拒むことができます。
借主が拒めないのは、貸主が物件の保存に必要な行為をしようとする場合に限られます(民法606条2項)。
保存を超える行為は借主の使用収益を妨げるおそれがあるため、受け入れる義務はありません。
【ポイント】
2020年4月施行の改正民法では、この規定は622条に移りました。
あわせて、貸主の損害賠償請求権は、返還を受けた時から1年を経過するまでは時効が完成しないとする規定も設けられました(600条2項)。