複合用途型の甲マンションにおいて、Aが区分所有する居住用の専有部分をBに、Cが区分所有する事務所用の専有部分をDに、それぞれが賃貸する契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
なお、いずれの賃貸借契約も、定期建物賃貸借契約ではないものとする。
正答1
解説
正解は1。
居住用・事業用の建物賃貸借(普通借家)について、借地借家法の不増額特約、賃貸人の地位の移転、解約申入れの特約の効力、適用範囲を問う問題です。
【選択肢別解説】
1:○ 建物の借賃の増減請求権(借地借家法32条1項)について、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従います(同項ただし書)。
不増額特約は賃借人に有利なので有効です(減額しない特約は無効とされるのと対照的です)。
2:× 対抗要件(建物の引渡し)を備えた賃借人がいる建物が譲渡された場合、賃貸人の地位は、賃借人の同意なく当然に新所有者Eに移転します(判例、最判昭46.4.23)。
※現行法(2020年4月施行)では民法605条の2に明文化されています。
3:× 建物の賃貸人からの解約申入れは、解約日の6か月前までに行う必要があり(借地借家法27条1項)、かつ正当事由が必要です(同法28条)。
賃貸人からの解約について正当事由を不要とする特約は、賃借人に不利なものとして無効です(同法30条)。
4:× 借地借家法の建物賃貸借の規定は、居住用に限らず、事務所用などの事業用建物の賃貸借にも適用されます。
一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合などを除き、CD間の賃貸借にも適用されます。
【ポイント】
「増額しない特約」は有効、「減額しない特約」は無効です。
賃貸人からの解約申入れは「6か月前+正当事由」が必須です。