口渇、多飲、多尿を主訴とする患者が、夜間の排尿が頻回で不眠を訴えている。
1日の尿量は5L ほどで、尿比重は 1.005、尿浸透圧は 110 mOsm/kg であった。
この症状の原因と考えられるホルモンの内分泌器官はどれか。
正答1
解説
正解は1です。
患者は口渇・多飲・多尿があり、1日の尿量は約5Lと著しく多くなっています。
尿比重1.005、尿浸透圧110mOsm/kgと、尿が非常に薄いことから、尿を濃縮できない状態と考えられます。
これは抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌が不足する中枢性尿崩症の所見です。
【選択肢別解説】
1:○ 抗利尿ホルモンは視床下部でつくられ、下垂体後葉から分泌されます。
分泌が不足すると腎臓の集合管で水が再吸収されず、薄い尿が大量に出ます。
2:× 甲状腺からは甲状腺ホルモンが分泌されます。
甲状腺機能亢進症では頻脈や体重減少などがみられますが、このような低比重の多尿は起こりません。
3:× 膵臓から分泌されるインスリンが不足すると糖尿病になり、口渇・多飲・多尿が起こります。
しかし尿糖のため尿比重は高くなり、本例の薄い尿とは合いません。
4:× 副甲状腺からは副甲状腺ホルモンが分泌されます。
機能亢進で高カルシウム血症になると多尿になることがありますが、本例のように抗利尿ホルモン不足を示す所見の主因ではありません。
5:× 副腎からはコルチゾールやアルドステロンなどが分泌されます。
尿を濃縮する主なホルモンは下垂体後葉の抗利尿ホルモンであり、本例の原因とは考えにくいです。
【ポイント】
「多尿で尿比重が低い(薄い尿)なら尿崩症、多尿で尿比重が高いなら糖尿病」と区別しましょう。
中枢性尿崩症の治療では、抗利尿ホルモンの作用をもつデスモプレシンを用います。