賃貸住宅における原状回復に係る少額訴訟に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 少額訴訟では、裁判所は、原告の主張を認める場合でも、支払猶予の判決を言い渡すことができる。
イ 賃貸人から請求された原状回復費用50万円を賃借人が支払わず立ち退きもしない場合、賃貸人は、少額訴訟により、50万円の支払及び明渡しを請求することができる。
ウ 少額訴訟では、1回の審理で判決が言い渡され、訴訟の途中で和解による解決はできない。
エ 少額訴訟の判決に対して不服がある場合は、地方裁判所に控訴することができる。
正答1
解説
正解は1です。
この問題は、民事訴訟法の少額訴訟の特徴を問うています。
少額訴訟は、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、簡易裁判所で迅速に審理する手続です(民事訴訟法368条)。
ア〜エのうち、記述として正しいものの数を数えます。
【記述別解説】
ア:○ 原告の請求を認める場合でも、支払猶予の判決をすることができます。
裁判所は、被告の資力などを考慮して、3年を超えない範囲で支払猶予や分割払いを定めることができます(民事訴訟法375条)。
イ:× 明渡しは少額訴訟で請求できません。
少額訴訟の対象は60万円以下の金銭の支払請求に限られます。
建物の明渡しを求めるには、通常の訴訟を提起する必要があります。
ウ:× 少額訴訟でも和解による解決は可能です。
原則として1回の期日で審理を終えますが(民事訴訟法370条)、途中で和解することは妨げられません。
エ:× 地方裁判所に控訴することはできません。
少額訴訟の判決に対しては控訴が禁止されています(民事訴訟法377条)。
不服がある場合は、判決をした簡易裁判所に異議を申し立てます(民事訴訟法378条)。
正しいのはアの1つなので、正解は1です。
【ポイント】
少額訴訟は「60万円以下・金銭のみ・原則1回審理・控訴不可(異議のみ)・同一簡裁で年10回まで」と覚えましょう。
敷金返還や少額の原状回復費用の請求でよく利用されます。