賃貸住宅を目的とする賃貸借契約に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア 賃貸借契約が有効に成立するためには、契約の終期について合意しなければならない。
イ 契約期間2年の建物賃貸借契約を締結し、「契約期間内に賃借人が死亡したときに契約が終了する」との特約を設けたとき、賃借人の死亡により賃貸借契約は終了する。
ウ 賃料の支払時期に関する合意をしなければ、当月分の賃料は当月末日払となる。
エ 賃貸借契約の締結に向けた交渉がなされ、賃貸人に契約が成立することの強い信頼を与えるに至ったにもかかわらず、合意直前で賃借人予定者が理由なく翻意し、契約が成立しなかった場合、賃借人予定者が不法行為責任を負うことがある。
正答2
解説
正解は2です。
賃貸借契約の成立要件、特約の効力、賃料の支払時期、契約交渉の破棄を問う問題です。
ア〜エの○×は記述そのものの正誤を示し、誤っている記述(×)の数を数えます。
【記述別解説】
ア:× 賃貸借契約は、物を使用収益させることと賃料を支払うことの合意で成立します(民法601条)。
期間を定めない賃貸借も有効であり、終期の合意は成立要件ではありません(民法617条)。
イ:× 賃借人が死亡したら契約が終了するという特約は、賃借人に不利な特約です。
借地借家法の更新や解約の規定に反する特約として無効になります(借地借家法30条)。
賃借権は相続されるので、賃借人が死亡しても契約は終了しません。
なお、知事の認可を受けた終身建物賃貸借(高齢者住まい法)は例外です。
ウ:○ 支払時期の合意がない場合、建物の賃料は毎月末に支払うものとされます(民法614条)。
当月分を当月末日に支払う後払いが原則です。
エ:○ 交渉の結果、相手方に契約成立への強い信頼を与えた後で正当な理由なく交渉を破棄すると、責任を負うことがあります。
判例は、このような契約準備段階での信義則違反について損害賠償責任を認めています(最判昭和59年9月18日)。
誤っている記述はアとイの2つなので、正解は2の「2つ」です。
【ポイント】
借地借家法30条は、更新や解約の規定に反する賃借人に不利な特約を無効とします。
賃借人の死亡で契約を終了させたい場合は、終身建物賃貸借の制度を使う必要があります。