次の記述のうち、居住用賃貸借契約に定める約定として不適切なものはいくつあるか。
ア 賃借人が支払を怠った賃料の合計額が賃料3か月分以上に達したとき、賃貸人は無催告にて賃貸借契約を解除し、賃借人の残置物がある場合はこれを任意に処分することができる。
イ 賃借人が支払を怠った賃料の合計額が賃料3か月分以上に達したとき、連帯保証人は、無催告にて賃貸借契約を解除し、賃借人の残置物がある場合はこれを任意に処分することができる。
ウ 賃借人が契約期間満了日に貸室を明け渡さなかった場合、賃借人は契約期間満了日の翌日から明渡しが完了するまでの間、賃料相当額の損害金を賃貸人に支払うものとする。
エ 賃借人が契約期間満了日に貸室を明け渡さなかった場合、賃借人は契約期間満了日の翌日から明渡しが完了するまでの間、賃料の2倍相当額の使用損害金を賃貸人に支払うものとする。
正答2
解説
正解は2です。
居住用賃貸借契約の約定(特約)が、法的に有効で適切な内容かを判断する問題です。
ア〜エの○×は約定として適切かどうかを示し、不適切な記述(×)の数を数えます。
【記述別解説】
ア:× 賃貸人が賃借人の残置物を任意に処分できるとする約定は不適切です。
裁判手続によらずに自分で権利を実現する自力救済にあたり、原則として許されません。
イ:× 連帯保証人は賃貸借契約の当事者ではないので、契約を解除する権限がありません。
最高裁令和4年12月12日判決は、家賃債務保証業者が無催告で契約を解除できるとする条項などを消費者契約法10条により無効としています。
残置物の任意処分も自力救済にあたるため、約定として不適切です。
ウ:○ 契約終了後に明け渡さない賃借人は、賃貸人に損害を与えています。
明渡しまで賃料相当額の損害金を支払うとする約定は、生じる損害に見合った内容で適切です。
エ:○ 明渡し遅延に対して賃料の2倍相当額の使用損害金を定める約定も、一般に有効と解されています。
明渡しを促す目的を持つ損害賠償額の予定(民法420条)として、許される範囲とされます。
不適切なのはアとイの2つなので、正解は2の「2つ」です。
【ポイント】
残置物の処分や無断での鍵交換などの自力救済条項は、賃貸人・保証人のどちらが行う形でも不適切です。
明渡し遅延の損害金は、賃料相当額や倍額の定めが有効とされる点と対比して覚えましょう。