賃貸借契約の特約の有効性に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。
ア 賃貸借の期間内に建物が競売により売却され、その所有権が他の者に帰属した場合に賃貸借契約が終了する旨の特約は、無効である。
イ 賃貸借の更新について合意が成立しない場合は賃貸借契約が期間満了と同時に当然に終了する旨の特約は、有効である。
ウ 借主が貸主の同意を得て賃貸建物に設置した造作について、建物明渡し時に買取請求権を行使することができない旨の特約は、有効である。
エ 振込みにより賃料を支払う場合の振込み手数料を貸主負担とする旨の特約は、無効である。
正答2
解説
正解は2です。
建物賃貸借の特約が、借地借家法の強行規定に反して無効になるかどうかが問われています。
借地借家法は、更新等の規定(26条〜29条)に反する借主に不利な特約を30条で、対抗力などの規定(31条・34条・35条)に反する借主に不利な特約を37条で無効としています。
【記述別解説】
ア:○ 建物の引渡しを受けた借主は、その後に建物の所有権を取得した者(競売の買受人を含む)に賃貸借を対抗できます(借地借家法31条1項)。
競売で所有者が変わると契約が終了する特約は、この対抗力を奪う借主に不利な特約です。
そのため、借地借家法37条により無効です。
イ:× 更新の合意が成立しなくても、借地借家法26条により賃貸借は法定更新されます。
期間満了で当然に終了する特約は法定更新を排除する借主に不利な特約なので、借地借家法30条により無効です。
ウ:○ 造作買取請求権(借地借家法33条)は、強行規定を定めた同法37条に含まれていません。
そのため、買取請求権を行使できない旨の特約は有効です。
エ:× 振込手数料は弁済の費用なので、特約がなければ借主(債務者)の負担です(民法485条)。
これを貸主負担とする特約は借主に有利で、強行規定にも反しないので有効です。
以上より、適切なのはア・ウで、その組合せの2が正解です。
【ポイント】
造作買取請求権の排除特約は有効、法定更新を排除する特約は無効という対比が頻出です。
なお、抵当権の登記より後に対抗要件を備えた賃貸借は、競売の買受人に対抗できず、6か月の明渡猶予が認められるにとどまります(民法395条)。