正答2
解説
正解は2です。
この問題は、建物の所有者が替わったときに、敷金の権利義務が新所有者に引き継がれるかを問うものです。
不適切なものを選ぶ問題なので、○ が答え(不適切な記述)です。
判断の鍵は、借主の賃借権を新所有者に対抗できるかどうかです。
【選択肢別解説】
1:× 適切です。
建物の引渡しを受けた借主は、新所有者に賃借権を対抗できます(借地借家法31条1項)。
この場合、貸主の地位は新所有者に移り、敷金の権利義務も当然に承継されます(最判昭44.7.17)。
2:○ 不適切です。
抵当権の登記後に結ばれた賃貸借は、抵当権者や競売の買受人に対抗できません。
買受人は貸主の地位を引き継がないため、敷金返還債務も承継しません。
借主には6か月の明渡猶予が認められるにとどまります(民法395条)。
3:× 適切です。
抵当権設定前に引渡しを受けた借主は、賃借権を買受人に対抗できます。
そのため買受人が貸主の地位を承継し、敷金の権利義務も引き継ぎます。
4:× 適切です。
差押え前に引渡しを受けていれば、借主は競売の買受人に賃借権を対抗できます。
この場合も、敷金の権利義務は買受人に承継されます。
【ポイント】
「対抗できる賃借権なら敷金も承継、対抗できなければ承継しない」と押さえます。
なお、2020年4月施行の改正民法で、貸主の地位の移転と敷金の承継が605条の2に明文化されました。