正答1
解説
正解は1です。
賃貸建物の所有権が移転した場合や競売された場合に、賃貸借がどうなるかを問う問題です。
借主が建物の引渡しを受けていれば、その後に建物の物権を取得した者に賃借権を対抗できます(借地借家法31条1項)。
【選択肢別解説】
1:○ 対抗要件を備えた賃貸建物が譲渡されると、特段の事情がない限り、貸主の地位は当然に譲受人に移転します(判例)。
敷金に関する権利義務も新しい貸主に承継されるため、明渡し後の敷金返還義務は譲受人が負います。
2:× 抵当権設定登記の後に締結された賃貸借は、抵当権者や買受人に対抗できません。
そのため貸主の地位は買受人に移転せず、借主は明渡しを求められます。
ただし、競売手続開始前から使用している借主には、買受けから6か月の明渡猶予があります(民法395条)。
3:× 抵当権設定登記より前に引渡しを受けた借主は、賃借権を買受人に対抗できます。
この場合、借主は明け渡す必要はなく、買受人が貸主の地位を引き継ぎます。
6か月の明渡猶予は、買受人に対抗できない借主のための制度です。
4:× 差押えより前に引渡しを受けた借主は、差押債権者や競売の買受人に賃借権を対抗できます。
借主は直ちに明け渡す必要はなく、買受人が新しい貸主となります。
【ポイント】
「引渡し」と「抵当権設定登記・差押え」のどちらが先かで、借主が対抗できるかが決まります。
2020年4月施行の改正民法で、貸主の地位の移転と敷金の承継は明文化されました(民法605条の2)。