Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。 )が締結され、Bが甲建物の引渡しを受けた場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
占有の訴えと占有権の承継、賃貸借の終了原因を問う問題です。
占有回収の訴えは、占有者が「占有を奪われたとき」に限って認められます(民法200条1項)。
【選択肢別解説】
1:○ 詐欺によって任意に占有を移転した場合は、占有を「奪われた」ことになりません(判例)。
そのため、Cに対して占有回収の訴えにより返還を請求することはできません。
2:× Bが立ち入りを拒んでも、Bは引き続き占有代理人として甲建物を所持しています。
Aの間接占有が奪われたとはいえないため、占有回収の訴えは認められません(判例)。
占有侵奪に当たるとする点が誤りです。
3:× 占有権は相続によって当然に相続人に承継されます(判例)。
相続人が相続の開始を知っていたかどうかは関係ありません。
4:× 賃貸借契約は、当事者の死亡によって当然には終了しません。
賃貸人の地位も賃借人の地位も、相続人に承継されます。
なお、使用貸借は借主の死亡によって終了します(民法597条3項)。
【ポイント】
占有回収の訴えは「侵奪」が要件で、だまし取られた場合や任意に引き渡した場合は使えません。
賃貸借は相続で承継され、使用貸借は借主の死亡で終了するという対比が頻出です。