令和5年7月1日に締結された建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
令和5年に締結された普通建物賃貸借について、期間・賃料増減額請求・賃貸人たる地位の留保を問う問題です(民法・借地借家法)。
【選択肢別解説】
1:× 「期間を1年とするものとみなされる」が誤りです。
期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされます(借地借家法29条1項)。
2:× 「この特約は有効である」が誤りです。
借地借家法32条1項ただし書で有効とされるのは、一定期間増額しない旨の特約だけです。
減額しない旨の特約があっても、賃料が不相当になれば賃借人は減額請求ができます(最判平成15年10月21日)。
3:○ 対抗要件を備えた建物賃貸借の目的物が譲渡されると、賃貸人たる地位は原則として譲受人に移転します(民法605条の2第1項)。
しかし、譲渡人と譲受人が賃貸人たる地位を譲渡人に留保し、譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、移転しません(同条2項)。
4:× 「一定の期間が経過していなければ認められない」が誤りです。
賃料増減額請求の要件に、一定期間の経過は含まれていません(借地借家法32条1項)。
判例も、直近の賃料合意から相当期間が経過していないことは、考慮すべき事情の一つにすぎないとしています。
【ポイント】
借家でも「増額しない特約は有効、減額しない特約は無効」です。
賃貸人たる地位の留保には、地位を留保する合意と、譲受人から譲渡人への賃貸の合意の両方が必要です。