AとBとの間で、Aを売主、Bを買主とする、等価値の美術品甲又は乙のいずれか選択によって定められる美術品の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が令和3年7月1日に締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
複数の給付から選択によって目的物が決まる「選択債権」の問題です。
本件の債務者は美術品を引き渡す売主A、債権者は買主Bです。
【選択肢別解説】
1:× 第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は債務者に移転します(民法409条2項)。
本件で選択権が移るのは債務者Aであり、債権者Bではありません。
2:○ 給付の中に不能なものがあり、その不能が選択権を有する者の過失によるときは、債権は残存する給付について存在します(民法410条)。
選択権者Aの失火で甲が全焼したので、目的物は乙に特定されます。
3:× 選択権について特段の合意がないときは、選択権は債務者に属します(民法406条)。
本件で選択権者となるのは売主Aであり、買主Bではありません。
4:× 第三者が選択をする場合は、債権者又は債務者に対する意思表示によって行います(民法409条1項)。
AとBの両者に意思表示をする必要はなく、いずれか一方で足ります。
【ポイント】
選択権は原則として債務者にあり、第三者が選択できないときも債務者に移ります。
2020年4月の改正で、選択権者の過失による不能の場合に限り残存する給付に特定される、と整理されました。