2019年度 宅地建物取引士試験 問2
AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
正答4
解説
正解は4です。 この問題は誤っているものを選ぶので、○ が答え(誤った記述)です。 詐欺による取消しと第三者の関係、錯誤無効の主張の可否が問われています。 出題当時の民法では、錯誤の効果は「無効」、詐欺の効果は「取消し」とされていました。 【選択肢別解説】 1:× 正しい記述です。 取消し後に登場した第三者Cと取消権者Aとは、Bを起点とする二重譲渡と同様の対抗関係に立ちます(大判昭和17年9月30日)。 そのため、Aは登記がなければ、背信的悪意者でないCに返還を請求できません。 2:× 正しい記述です。 詐欺による取消しは善意の第三者に対抗できません(旧民法96条3項)。 しかし、Cは詐欺について悪意なので保護されず、AはCに甲土地の返還を請求できます。 3:× 正しい記述です。 出題当時の民法95条の錯誤無効には、第三者を保護する規定がありませんでした。 そのため、重大な過失のないAは、第三者Cに対しても無効を主張して返還を請求できます。 4:○ 表意者に重大な過失があったときは、表意者は自ら錯誤無効を主張できません(旧民法95条ただし書)。 したがって「重大な過失があったとしても無効を主張できる」とする本肢は誤りです。 【ポイント】 現行法(2020年4月施行)では、錯誤の効果は「取消し」に改められました(民法95条)。 重過失の表意者は原則として取り消せませんが、相手方が悪意・重過失のときや共通錯誤のときは取り消せます。 また、錯誤・詐欺による取消しは、善意無過失の第三者に対抗できないと明文化されています。法改正による注意
正答と採点は出題当時の正解によります。
肢3は、2020年4月施行の改正民法により、現行法では誤った記述です。改正前は、錯誤による意思表示は無効で、第三者を保護する規定はありませんでした。現行法では、錯誤による意思表示は取り消すことができるものとされ、その取消しは善意でかつ過失がない第三者に対抗できないため、Cが善意無過失であれば、AはCに甲土地の返還を請求できません。現行法では誤っているものは肢3と肢4の2つになり、この問題は成立しません。 根拠:民法第95条第1項・第4項(2020年4月1日施行) (2026年10月時点の法令による)