Aが、所有する甲土地の売却に関する代理権をBに授与し、BがCとの間で、Aを売主、Cを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
正答4
解説
正解は4です。
代理権の濫用・代理人の行為能力・双方代理・代理権の消滅事由を問う問題です。
出題当時の民法と判例で判断します。
【選択肢別解説】
1:× 誤りです。
代理人が自己の利益を図る目的で代理行為をすることを代理権の濫用といいます。
判例は、相手方がその目的を知り又は知ることができたときは、民法93条ただし書を類推して本人に効果が帰属しないとしています。
Cが着服の意図を知っていた以上、効果はAに帰属しません。
2:× 誤りです。
代理人は行為能力者であることを要しません(旧民法102条)。
被補助人であっても代理人として有効に代理権を取得できます。
3:× 誤りです。
同一人物が当事者双方の代理人となる双方代理は原則として禁止されます(民法108条)。
しかし、本人があらかじめ許諾した行為は例外として許されます(同条ただし書)。
また、違反した行為も無権代理として扱われ、本人の追認で有効になり得るので、当然に無効とはいえません。
4:○ 正しい記述です。
代理人が後見開始の審判を受けると、代理権は消滅します(民法111条1項2号)。
消滅後にBが行った契約締結は、代理権のない者による無権代理行為となります。
【ポイント】
代理人が制限行為能力者でも代理権は取得できますが、代理権授与後に後見開始の審判を受けると代理権は消滅します。
現行法では、代理権の濫用は民法107条で無権代理とみなすと明文化されています。