20歳の男性。
頸髄完全損傷。
受傷3週後のDaniels らの徒手筋力テストにおける上肢の評価結果を示す。
(右/左)大胸筋4/4、三角筋5/5、上腕二頭筋5/5、上腕三頭筋0/1、円回内筋0/1、長短橈側手根伸筋4/4、橈側手根屈筋0/1、広背筋0/0。
この患者が獲得する可能性の最も高いADLはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
頸髄完全損傷者の筋力から機能残存レベルを判定し、獲得可能なADLを考える問題です。
三角筋・上腕二頭筋が5、長短橈側手根伸筋が4と手関節背屈は可能です。
一方、上腕三頭筋・円回内筋・橈側手根屈筋は0〜1でC7以下の筋は働かないため、C6レベルと判断できます。
【選択肢別解説】
1:× 床から車椅子への移乗には、上肢で体を高く持ち上げる力が必要です。
肘を伸ばす上腕三頭筋が働かないC6レベルでは、獲得は困難です。
2:× キャスター上げで段差を昇るには、ハンドリムを強く握って前方へ押し出す力が必要です。
手指の把持ができず上腕三頭筋も働かないため、10cmの段差を昇るのは困難です。
3:○ C6レベルでは、両上肢を左右に振ってその反動を利用し、柵を使わずに寝返ることが可能です。
三角筋・大胸筋が十分に働くため、この動作は獲得の可能性が最も高いといえます。
4:× プッシュアップで殿部を20cm持ち上げるには、肘を伸ばす上腕三頭筋の力が必要です。
上腕三頭筋が0〜1では、このような高さのプッシュアップはできません。
5:× アームサポートに手をついて上半身を押し起こすには、肘の伸展力が必要です。
C6レベルでは、手をつくのではなく、押し手やアームサポートに腕を引っかけて起き上がる方法をとります。
【ポイント】
上腕三頭筋(C7)が働くかどうかで、プッシュアップや移乗の自立度が大きく変わります。
C6レベルでは、手関節背屈を利用したテノデーシス動作と、反動を使った寝返りが代表的な獲得動作です。