55歳の男性。
倒れてきた本棚により右肘上部を圧迫され正中神経麻痺を生じた。
約1か月経過したが、右上肢の運動障害と感覚障害を認めていることから装具療法を行うことになった。
使用する装具で正しいのはどれか。
正答1
解説
正解は1です。
肘より上(高位)で生じた正中神経麻痺に用いる装具を問う問題です。
高位の正中神経麻痺では、母指球筋に加えて、前腕の円回内筋・橈側手根屈筋・浅指屈筋なども麻痺します。
そのため母指の対立ができず、手関節の安定も損なわれます。
【選択肢別解説】
1:○ 長対立装具は、母指を対立位に保つ部分に加えて、手関節まで固定する装具です。
前腕の屈筋群も麻痺する高位正中神経麻痺では、手関節を含めて支持できる長対立装具が適応となります。
2:× IP伸展補助装具は、指の伸展を補助してPIP関節の屈曲拘縮などを防ぐ装具です。
母指対立の障害を補う装具ではありません。
3:× ナックルベンダーは、尺骨神経麻痺による鷲手でMP関節の過伸展を防ぐ装具です。
正中神経麻痺の主な障害には対応していません。
4:× Thomas型懸垂装具は、橈骨神経麻痺の下垂指・下垂手に対し、手関節と指の伸展を補助する装具です。
5:× コックアップ・スプリントは、手関節を背屈位に保つ装具で、主に橈骨神経麻痺の下垂手に用います。
母指対立の再建には役立ちません。
【ポイント】
正中神経麻痺は対立装具、尺骨神経麻痺はナックルベンダー、橈骨神経麻痺はコックアップ・スプリントやThomas型懸垂装具が基本です。
麻痺の高さが手関節より上なら長対立装具、手根管レベルなど低位なら短対立装具を選びます。