79歳の女性。
貧血と腰椎の溶骨性病変を指摘されて受診した。
血清と尿の免疫固定法による蛋白電気泳動の結果(別冊No.11A、B)を別に示す。
考えられるのはどれか。
正答3
解説
正解は3です。
図Aは血清、図Bは尿の免疫固定電気泳動の結果です。
血清では、蛋白分画のγ域に濃い1本のバンド(M蛋白)があります。
同じ位置に抗IgG血清と抗κ鎖血清でバンドが出ており、抗IgA・抗IgM・抗λ鎖では出ていません。
したがって血清のM蛋白はIgG-κ型です。
尿では抗κ鎖血清だけにバンドが出て、抗重鎖血清では反応がありません。
これは遊離κ鎖、つまりκ型のBence Jones蛋白です。
貧血と溶骨性病変に、IgG-κ型M蛋白とBence Jones蛋白尿が加わることから、多発性骨髄腫と考えます。
【選択肢別解説】
1:× 骨肉腫は骨を作る悪性腫瘍で、若年者に多い病気です。
M蛋白を作らないため、図の所見とは合いません。
2:× 骨髄線維症は骨髄が線維化する骨髄増殖性腫瘍です。
M蛋白は出ず、溶骨性病変も特徴ではありません。
3:○ 多発性骨髄腫は形質細胞が単クローン性に増える腫瘍で、M蛋白とBence Jones蛋白を作ります。
骨を溶かして溶骨性病変を作り、貧血も起こすため、本例に一致します。
4:× 大顆粒リンパ球性白血病はT細胞やNK細胞の腫瘍です。
免疫グロブリンを作らないため、M蛋白は出ません。
5:× 原発性マクログロブリン血症ではIgM型のM蛋白が出ます。
本例は抗IgM血清で反応がなく、IgG型なので合いません。
【ポイント】
免疫固定法では、M蛋白と同じ位置に出る重鎖(G・A・M)と軽鎖(κ・λ)の組合せでM蛋白の型を決めます。
多発性骨髄腫の主な症状は、高カルシウム血症・腎障害・貧血・骨病変の4つです。