32歳の男性。
アフリカ系アメリカ人。
貧血の精査で採血した末梢血のMay‑Giemsa染色標本(別冊No.9)を別に示す。
この疾患について誤っているのはどれか。
正答2
解説
正解は2です。
図の末梢血では、円形の赤血球に混じって、両端がとがった三日月形や鎌の刃のような細長い赤血球が多数みられます。
これは鎌状赤血球で、アフリカ系の人に多い鎌状赤血球症と考えられます。
本症は、β鎖の6番目のグルタミン酸がバリンに置き換わった異常ヘモグロビン(ヘモグロビンS)による病気です。
この問題は鎌状赤血球症について誤っている記述を選ぶので、○ が答え(誤った記述)です。
【選択肢別解説】
1:× 鎌状赤血球症はβグロビン遺伝子の点変異による遺伝性疾患です。
記述は正しいです。
2:○ ヘモグロビンSは酸素を手放した脱酸素状態で重合し、赤血球を鎌状に変形させます。
高酸素状態ではなく低酸素状態で変形するので、この記述は誤りです。
3:× 遺伝子をヘテロでもつ人は、熱帯熱マラリアにかかっても重症化しにくいことが知られています。
そのためマラリア流行地域で遺伝子が多く残っています。
記述は正しいです。
4:× 鎌状に変形した赤血球は硬く柔軟性が低下します。
細い血管を通れずに詰まり、痛みの発作や臓器障害を起こします。
記述は正しいです。
5:× 本症の赤血球には異常ヘモグロビンであるヘモグロビンSが含まれます。
記述は正しいです。
【ポイント】
鎌状赤血球症では、脱水・低酸素・感染などで鎌状化が進み、血管閉塞発作が起こります。
変形した赤血球は壊れやすく、溶血性貧血も起こします。