K社の社員寮に勤務する管理栄養士である。
毎年 120人程度の新入社員が、1年間、この寮を利用している。
調理従事者は5人で、シフト勤務している。
3月4日、16時頃までに、30人の新入社員が、腹痛、下痢、嘔吐の症状を訴えた。
16時 30分に、施設長の判断により、食中毒の可能性があると保健所に通報した。
3月5日の昼、腹痛と下痢を発症した者は、新入社員 60人、調理従事者4人に増えた。
その頃、保健所から、有症者の便と3月3日夕食のちらし寿司の保存食から、ノロウイルスが検出されたと報告があった。
図は、ちらし寿司の作業工程に、保健所の職員が作業時の手洗い、中心温度測定、手袋着用の有無を聞き取り、追記したものである。
ちらし寿司の材料は、米飯、ちらし寿司の素(しいたけ甘煮・酢れんこん・人参)、卵、さやえんどう、えびである。
ノロウイルスの汚染が疑われる作業工程として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答2
解説
正解は2です。
有症者の便と、3月3日夕食のちらし寿司の保存食からノロウイルスが検出されました。
ノロウイルスは加熱で不活化されるため、加熱後に素手で扱った工程が汚染源として疑われます。
【図の読み取り】
(a)えびを煮る工程は、加熱前に手洗いが行われ、中心温度も測定されています。
(b)薄焼き卵を切る工程は、焼いて冷却した後の作業で、手洗いのみで手袋は着用されていません。
(c)具を加え混ぜる工程と、(d)盛り付けの工程は、いずれも手袋を着用しています。
薄焼き卵は、切った後に再び加熱されることなく盛り付けられています。
【選択肢別解説】
1:× (a)では、えびを中心温度を確認しながら加熱しています。
ノロウイルスは十分な加熱で不活化されるため、汚染が疑われる工程ではありません。
2:○ (b)は、加熱・冷却が終わった薄焼き卵を、手袋を着けずに素手で切る工程です。
この後に加熱する工程がないため、調理従事者の手指からノロウイルスが付着すると、そのまま喫食者に届きます。
汚染が最も疑われる工程です。
3:× (c)では、手袋を着用して具を混ぜています。
(b)に比べ、手指からの直接の汚染は起こりにくい工程です。
4:× (d)でも、すべての料理について手袋を着用して盛り付けています。
手指からの直接の汚染が起こりにくい工程です。
【ポイント】
ノロウイルス食中毒の多くは、感染した調理従事者の手指を介して、加熱後の食品が汚染されることで起こります。
加熱後の食品を扱う作業では、手洗いに加えて使い捨て手袋を着用します。