K 産科病院に勤務する管理栄養士である。
患者は、36歳、初産婦、会社員。
現在、妊娠 8週目。
激しい嘔吐を繰り返すようになり、食事がほとんど食べられなくなったため入院となった。
身長 165 cm、体重 56 kg、妊娠前体重 59 kg。
血圧 110/70 mmHg。
空腹時の血液検査値は、クレアチニン 0.8 mg/dL、尿素窒素 30 mg/dL、血糖 80 mg/dL。
たんぱく尿(-)、尿中ケトン体(2+)。
入院当日の栄養投与方法として、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答2
解説
正解は2です。
本例は妊娠8週の妊娠悪阻で、激しい嘔吐のため食事がほとんどとれていません。
尿中ケトン体(2+)は飢餓状態を、尿素窒素30 mg/dL(クレアチニン0.8 mg/dL)は脱水を示し、体重も妊娠前から3 kg 減っています。
入院当日は、まず静脈から水分・電解質・ブドウ糖を補う必要があります。
【選択肢別解説】
1:× 中心静脈栄養は、長期間にわたり静脈から十分な栄養を入れる必要がある場合に選ぶ方法です。
カテーテル感染などの危険を伴い、入院当日の脱水補正に用いる方法ではありません。
2:○ 末梢静脈栄養により、脱水と電解質の異常を速やかに補正し、ブドウ糖でケトーシスを改善できます。
短期間の管理に適しており、入院当日の方法として最も適切です。
3:× 激しい嘔吐が続いている状態で経鼻胃管から栄養剤を入れると、嘔吐や誤嚥を招くおそれがあります。
入院当日の方法としては適しません。
4:× 食事がほとんど食べられず嘔吐を繰り返している状態では、流動食でも経口摂取は困難です。
まずは静脈から補液を行います。
【ポイント】
妊娠悪阻の輸液では、ブドウ糖を投与する前にビタミンB1を補い、ウェルニッケ脳症を予防します。
脱水が改善し嘔吐がおさまってきたら、少量ずつ経口摂取を再開します。