K 中学校に勤務する管理栄養士である。
養護教諭から、陸上部の長距離競技をしている A さんについて相談を受けた。
A さんは、14歳、男子。
身長 170 cm、体重 56 kg。
日常生活において、動悸、息切れを自覚するようになり、運動後に尿の色が褐色になることがあったという。
医療機関を受診し、血液検査値は以下の通りであった。
赤血球数 300×10⁴/mm³、ヘモグロビン 9.6 g/dL、MCV 86 fL(基準値 79~100)、 MCH 32 pg(基準値 26~34)、尿素窒素 12 mg/dL、クレアチニン 0.9 mg/dL。
この男子中学生に認められる病態である。
最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
正答2
解説
正解は2です。
A さんは長距離の陸上競技選手で、動悸・息切れがあり、運動後に褐色の尿が出ています。
検査値はヘモグロビン9.6 g/dLと貧血を示しますが、MCV 86 fL、MCH 32 pgはいずれも基準値内で、正球性正色素性の貧血です。
運動後の褐色尿は、壊れた赤血球から出たヘモグロビンが尿に出るヘモグロビン尿と考えられます。
【選択肢別解説】
1:× 鉄欠乏性貧血では、ヘモグロビンが十分に作れず、赤血球が小さく色が薄くなります。
MCVとMCHが低下するはずですが、この患者ではいずれも基準値内なので、鉄欠乏とは考えにくいです。
2:○ 長距離走で足の裏に繰り返し衝撃が加わると、足底の血管内で赤血球が壊れます(行軍ヘモグロビン尿症)。
正球性の貧血と運動後の褐色尿が一致するので、血球破壊(溶血)が最も適切です。
3:× 尿素窒素12 mg/dL、クレアチニン0.9 mg/dLは、いずれも腎機能の大きな異常を示していません。
腎機能障害を示す所見はないため、適切ではありません。
4:× 循環血漿量が減少すると血液が濃縮され、ヘモグロビン値はむしろ高くなります。
ヘモグロビンが低下しているこの所見とは一致しません。
【ポイント】
スポーツ選手の貧血には、鉄欠乏性貧血、溶血性貧血、血漿量の増加による希釈性貧血があります。
赤血球指数(MCV・MCH)と尿の色が、病態を見分ける手がかりになります。