K 病院に勤務する管理栄養士である。
NST ラウンドで、肝硬変による腹水と脳症の治療のために 1週間前に入院した患者のベッドサイドにいる。
患者は、70歳、男性。
7年前に C 型肝炎と診断され、治療していたが、昨年より肝硬変の状態であると告げられた。
これまでに何度も入退院を繰り返している。
身長 165 cm、体重 62 kg、標準体重 60 kg、血圧 142/92 mmHg。
空腹時血液検査値は、総たんぱく質 5.9 g/dL、アルブミン 2.6 g/dL、血糖 125 mg/dL、AST 61 IU/L、ALT 45 IU/L、γGT 68 IU/L、総ビリルビン 3.1 mg/dL、アンモニア 237 μg/dL(基準値 40~80)。
この患者の栄養管理に関する記述である。
誤っているのはどれか。
1つ選べ。
正答2
解説
正解は2です。
この問題は誤っているものを選ぶので、○ が答え(誤った記述)です。
患者はC型肝炎から進んだ非代償性肝硬変で、腹水と肝性脳症があり、アンモニア237 μg/dL(基準値40〜80)と著しく高値です。
アルブミン2.6 g/dLと低栄養もあり、たんぱく質は多すぎれば脳症を悪化させ、少なすぎれば低栄養を進めるため、量の設定が重要です。
【計算】
たんぱく質95 gの標準体重当たり量=95 g÷60 kg≒1.6 g/kg
エネルギー1,600 kcalの標準体重当たり量=1,600 kcal÷60 kg≒27 kcal/kg
【選択肢別解説】
1:× 肝硬変のエネルギーは、25〜35 kcal/kg標準体重/日を目安とします。
血糖125 mg/dLと耐糖能異常が疑われるため、標準体重1 kg当たり約27 kcalとなる1,600 kcal/日は妥当です。
2:○ 95 g/日は標準体重1 kg当たり約1.6 gに当たり、肝性脳症のある患者には多すぎます。
脳症がある時期は、たんぱく質を0.5〜0.7 g/kg程度に制限し、分枝アミノ酸製剤で補うため、誤りです。
3:× 肝硬変では脂肪の消化吸収能が低下するため、脂肪エネルギー比率は20〜25%程度とします。
20%は適切です。
4:× 腹水があるため、食塩を制限してナトリウムの貯留を防ぎます。
食塩相当量で6 g/日未満とするのは適切です。
5:× 分枝アミノ酸を多く含む肝不全用経腸栄養剤は、フィッシャー比を改善し、たんぱく質とエネルギーを補えます。
肝性脳症のある肝硬変患者に適した栄養剤です。
【ポイント】
肝性脳症のある時期は低たんぱく質食とし、分枝アミノ酸製剤でたんぱく質を補うのが基本です。
腹水には食塩制限、夜間の飢餓には就寝前軽食(LES)で対応します。