62歳、男性。
週 3回の維持血液透析療法を施行している。
身長 165 cm、透析前体重 60 kg、ドライウエイト 58 kg、無尿、透析間体重増加量 2.0 kg(中 2日)。
透析前の検査値は、血清尿素窒素値 85 mg/dL、血清クレアチニン値 9.8 mg/dL、血清カリウム値 5.7 mEq/L、血清リン値 6.3 mg/dL。
この患者の食事療法である。
正しいのはどれか。
1つ選べ。
正答2
解説
正解は2です。
週3回の維持血液透析患者の食事療法を問う問題です。
血清カリウム5.7 mEq/Lと血清リン6.3 mg/dLが高く、カリウムとリンの管理が特に重要な症例です。
出題当時の日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準2007年版」に沿って計算します。
【計算】
標準体重は、1.65 m×1.65 m×22=約60 kgです。
エネルギーの基準は27〜39 kcal/kg/日なので、60 kg×27〜39=約1,600〜2,300 kcal/日です。
たんぱく質の基準は1.0〜1.2 g/kg/日なので、60 kg×1.0〜1.2=60〜72 g/日です。
リンの基準はたんぱく質(g)×15 mg以下なので、60 g×15 mg=900 mg/日以下です。
飲水量の基準は15 mL/kgドライウエイト/日以下なので、58 kg×15 mL=870 mL/日以下です。
【選択肢別解説】
1:× カリウムは3,000 mg/日以上ではなく、2,000 mg/日以下に制限します。
本例は血清カリウムが5.7 mEq/Lと高く、不整脈の危険があります。
2:○ リンはたんぱく質60 g×15 mgから900 mg/日以下となり、基準に合致します。
血清リン6.3 mg/dLと高値で、制限が必要です。
3:× エネルギー1,400 kcal/日は約23 kcal/kgで、基準の下限(約1,600 kcal)を下回ります。
エネルギー不足は体たんぱく質の異化を招き、高カリウム血症の悪化にもつながります。
4:× 飲水量1.4 L/日は多すぎます。
無尿の透析患者では、15 mL/kgドライウエイトから約870 mL/日以下が目安です。
5:× たんぱく質90 g/日は1.5 g/kgで、基準(1.0〜1.2 g/kg)を超えます。
リンやカリウムの摂取増加、尿素窒素の上昇につながります。
【ポイント】
透析患者では「たんぱく質は保存期より多め、カリウム2,000 mg以下、リンはたんぱく質×15 mg以下、食塩6 g未満、水分はできるだけ少なく」が基本です。
なお、2014年に日本透析医学会の「慢性透析患者の食事療法基準」が公表され、エネルギー30〜35 kcal/kg/日、たんぱく質0.9〜1.2 g/kg/日に改められています。