マンションの分譲業者が、区分所有者に対して、建物の専有部分の区分所有権、共用部分の共有持分及び敷地の共有持分を分譲したが、一部の区分所有者に対しては、それらとともに敷地の駐車場の専用使用権を分譲した。
この場合において専用使用権及び専用使用料に関する次の記述のうち、最高裁判所の判決によれば、適切なものの組合せはどれか。
ア駐車場の専用使用権は、区分所有者全員の共有に属するマンション敷地の使用に関する事項ではなく、専用使用権を有する区分所有者のみに関する事項であるから、区分所有者全員の規約及び集会決議による団体的規制に服すべき事項ではない。
イ規約の設定、変更等をもって、一部の区分所有者の権利を変更するときには、その承諾を得なければならないから、当該駐車場の専用使用権者の承諾を得ないで当該駐車場の使用料を増額することはできない。
ウ規約の設定、変更等をもって、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときには、その承諾を得なければならないが、ここでの「特別の影響を及ぼすべきとき」とは、一部の区分所有者の受ける不利益がその区分所有者の受忍限度を超えると認められる場合をいう。
エ規約の設定、変更等をもって、増額された駐車場の使用料が、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者は、当該駐車場の使用料の増額を受忍すべきである。
正答4
解説
正解は4(ウ・エ)。
分譲時に設定された駐車場専用使用権の使用料増額について、規約変更と「特別の影響」の意味を示した最高裁判決(最判平成10年10月30日)を問う問題です。
【選択肢別解説】
ア:× 判例は、駐車場の専用使用権は区分所有者全員の共有に属するマンション敷地の使用に関する権利であるから、これが分譲された後は、管理組合と組合員たる専用使用権者との関係では、法の規定の下で、規約及び集会決議による団体的規制に服すべきものとしています。
「団体的規制に服すべき事項ではない」とする点が誤りです。
イ:× 規約の設定・変更等について一部の区分所有者の承諾が必要となるのは、その権利に「特別の影響を及ぼすべきとき」です(区分所有法31条1項後段)。
使用料の増額が社会通念上相当なものであれば専用使用権者は受忍すべきで、承諾がなくても増額は可能です。
「承諾を得ないで増額することはできない」とする点が誤りです。
ウ:○ 判例は、「特別の影響を及ぼすべきとき」とは、規約の設定・変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいうとしています。
エ:○ 判例は、増額された使用料が、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者は増額を受忍すべきであり、増額に関する規約の設定等は専用使用権者の権利に特別の影響を及ぼすものではないとしています。
よって適切なものはウ・エです。
【ポイント】
「特別の影響」は「受忍限度を超える不利益」を意味し、必要性・合理性と社会通念上の相当性があれば使用料増額に個別の承諾は不要です。