管理規約違反行為、使用細則違反行為又は義務違反行為に関する次の記述のうち、区分所有法及び標準管理規約(単棟型)によれば、不適切なものはいくつあるか。
ア管理規約上ペットの飼育が禁止されているマンションにおいて、住戸の賃借人がペットを飼育している場合、理事長は、理事会の決議を経て、賃貸人である区分所有者に対して警告をすることはできるが、当該賃借人に対して警告をすることはできない。
イ区分所有者が、専有部分の使用細則に違反して、常習的に深夜に大音量でピアノの演奏をしていることから、当該行為の差止めを求めて訴訟を提起する場合には、総会の決議を経る必要がある。
ウ区分所有者が共用部分の破壊行為を繰り返すなどして他の区分所有者の共同の利益に反する行為を行い、他の区分所有者の共同生活上の障害が著しいことから、訴えをもって当該区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求する旨の集会の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
エ区分所有者に対し、管理規約違反行為の差止めを求める訴訟を提起する場合は、理事長は当該区分所有者に対して違約金としての弁護士費用を請求することができる。
正答2
解説
正解は2(不適切なものは二つ)。
規約・使用細則違反者への勧告・警告、差止訴訟の手続、使用禁止請求の弁明の機会、弁護士費用の請求を問う個数問題です。
【選択肢別解説】
ア:× 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者(賃借人)若しくはその同居人が法令・規約・使用細則に違反したときは、理事長は理事会の決議を経て、その区分所有者等に対し勧告又は指示若しくは警告を行うことができます(標準管理規約67条1項)。
賃借人に対しても直接警告できるので、「賃借人に対して警告をすることはできない」とする点が誤りです。
イ:× 区分所有者等が規約・使用細則等に違反したときは、理事長は「理事会の決議」を経て、行為の差止め等のため必要な措置を請求するための訴訟その他法的措置を追行することができます(標準管理規約67条3項1号)。
「総会の決議を経る必要がある」とする点が誤りです。
ウ:○ 共同の利益に反する行為をした区分所有者に対する専有部分の使用禁止請求の集会決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し弁明する機会を与えなければなりません(区分所有法58条3項)。
エ:○ 規約違反行為の差止め等の訴訟を提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができます(標準管理規約67条4項)。
よって不適切なものはア・イの二つです。
【ポイント】
標準管理規約では、規約違反への勧告・警告も差止訴訟の提起も「理事会の決議」で足ります。
区分所有法の使用禁止請求・競売請求・引渡請求では「弁明の機会」の付与が必要です。