次の記述のうち、判例によれば、適切なものはいくつあるか。
ア区分所有者の団体のみが共用部分から生ずる利益を収取する旨を集会で決議し、又は規約で定めた場合には、各区分所有者は、その持分割合に相当する利益についての返還を請求することはできない。
イ区分所有者の集会で複数の理事を選任し、理事長は理事会で理事の互選で選任する旨を規約で定めた場合には、理事の職は維持しつつ、理事長の職を解くことについて、理事会の決議で決することができる。
ウ建物の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者は、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者を含む建物利用者、隣人、通行人等に対する関係でも、当該建物の建物としての基本的な安全性が欠けることのないように配慮すべき注意義務を負う。
エ管理組合の業務を分担することが一般的に困難な不在組合員に対し一定の金銭負担を求めることは、規約の変更に必要性及び合理性があり、不在組合員の受ける不利益の程度を比較衡量して一定の金銭負担に相当性のある場合には、受忍限度を超えるとまではいうことはできない。
正答4
解説
正解は4(適切なものは四つ)。
区分所有関係・建築物の安全性に関する最高裁判例の結論を問う問題です。
【選択肢別解説】
ア:○ 区分所有者の団体のみが共用部分から生ずる利益を収取し、区分所有者に分配しない旨を集会で決議し又は規約で定めた場合には、各区分所有者はその持分割合に相当する利益の返還を請求できないとされています(最判平成27年9月18日)。
イ:○ 理事長を理事会で理事の互選により選任する旨の規約がある場合、理事会の決議によって理事の職は維持しつつ理事長の職を解くことができるとされています(最判平成29年12月18日)。
ウ:○ 建物の設計者、施工者及び工事監理者は、契約関係にない居住者等を含む建物利用者、隣人、通行人等に対する関係でも、建物としての基本的な安全性が欠けることがないよう配慮すべき注意義務を負うとされています(最判平成19年7月6日)。
エ:○ 管理組合の業務を分担することが一般的に困難な不在組合員に一定の金銭負担(協力金)を求める規約変更は、必要性・合理性と不在組合員の不利益の程度を比較衡量して相当性がある場合には、受忍限度を超えるとはいえず、区分所有法31条1項後段の「特別の影響」には当たらないとされています(最判平成22年1月26日)。
よって適切なものはア〜エの四つすべてです。
【ポイント】
共用部分の利益の返還請求、理事長の解職、建物の基本的安全性、不在組合員の協力金の4判例は、いずれも管理業務主任者試験の頻出判例です。