管理者でない区分所有者Aが、単独で行使できる裁判上の請求に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、請求が認められないものの組み合わせはどれか。
ただし、規約又は集会の決議による請求権者や請求方法についての定めはないものとする。
ア区分所有者Bが、自らが所有する住戸の共用廊下側の窓を改造して出入口を作っていたところ、管理者が黙認し、放置状態にあるので、共用部分の共有持分権に基づく保存行為として、同改造部分の原状回復を請求することイマンション管理業者がずさんな管理を続けているところ、管理者が黙認し、放置状態にあるので、管理委託契約の準共有持分権に基づく保存行為として、当該管理業者との契約の解除を請求することウ管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるので、管理者の解任を請求することエ区分所有者Cが、自ら専有部分を暴力団事務所として利用し、他の方法によってはその障害を除去することが困難であるため、当該専有部分の競売を請求すること
正答3
解説
正解は3(イ・エ)。
管理者でない区分所有者が単独で裁判上の請求をできるかどうかを、保存行為・管理者解任請求・義務違反者に対する措置の観点から問う問題です。
【選択肢別解説】
ア:○(認められる) 区分所有者は共用部分の共有持分権に基づき、その保存行為として単独で妨害排除(原状回復)を請求することができます(区分所有法18条1項ただし書参照)。
共用部分である外壁(窓)の無断改造に対しては、各区分所有者が単独で原状回復を求めることが認められています。
イ:×(認められない) 管理委託契約の解除は、共用部分の現状を維持する「保存行為」には当たらず、管理に関する事項として集会の決議によって行うべきものです(区分所有法18条1項)。
区分所有者が単独で解除を請求することはできません。
ウ:○(認められる) 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができます(区分所有法25条2項)。
エ:×(認められない) 共同の利益に反する行為をした区分所有者の専有部分の競売請求(区分所有法59条)は、集会において区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による決議を経て、他の区分所有者の全員又は管理組合法人が訴えをもって行うものです。
区分所有者が単独で行うことはできません。
よって請求が認められないものはイ・エで、正解は3です。
【ポイント】
単独でできるのは「保存行為」と「管理者の解任請求(25条2項)」です。
義務違反者への使用禁止・競売・引渡し請求は、いずれも集会の特別決議と弁明の機会が必要です。