正答1
解説
正解は1です。
この問題は誤っているものを選ぶので、○ が答え(この患者の音声の特徴として当てはまらないもの)です。
図の安静時の画像では、一側の声帯の縁に、表面が滑らかで丸く盛り上がった腫瘤(声帯ポリープと考えられる病変)がみられます。
発声時の画像では、この腫瘤が声帯の間に挟まり、声門が十分に閉じていません。
そのため、声帯振動が不規則になり、息もれを伴う声になります。
【選択肢別解説】
1:○ 無力性の増大は、この患者の特徴として誤りです。
無力性は声帯の緊張低下などで弱々しくなった声で、腫瘤性病変では粗糙性と気息性が主な特徴になります。
2:× 声域の狭小化はみられます。
腫瘤があると声帯の質量や硬さが変わり、高い声や低い声が出しにくくなります。
3:× VHI(音声障害指数)スコアの高値はみられます。
VHIは声の問題による生活上の支障を患者自身が評価する質問紙で、音声障害があると高くなります。
4:× 最長発声持続時間の短縮はみられます。
声門が閉じきらず呼気が漏れるため、一息で発声できる時間が短くなります。
5:× 声の高さのゆらぎの増大はみられます。
声帯振動が不規則になるため、周期のゆらぎ(ジッタ)が大きくなります。
【ポイント】
GRBAS尺度では、腫瘤性病変はR(粗糙性)とB(気息性)が高くなりやすいです。
A(無力性)は、声帯麻痺の一部や全身の衰弱、心因性の音声障害などで目立ちます。
【用語】
声帯ポリープ:声帯の縁にできる、表面が滑らかな良性の腫瘤である。
GRBAS尺度:嗄声の程度を、全体、粗糙性、気息性、無力性、努力性の五つの要素で評価する尺度である。
無力性:声帯の緊張低下などで、声が弱々しく力のない印象になる嗄声の性質を指す。
粗糙性:声帯の振動が不規則であるために、ガラガラとざらついて聞こえる嗄声の性質を指す。
VHI:音声障害指数の略で、声の問題による生活上の支障を患者自身が評価する質問紙である。
ジッタ:声の周期のゆらぎの大きさを表す指標で、声帯振動の不規則さを示す。