ASTはアミノ基転移反応を触媒する酵素である。
活性中心のリシン残基側鎖アミノ基は、補酵素ピリドキサール5′-リン酸(P5P)の4位のアルデヒド基と共有結合し、P5P-AST複合体(ア)を形成する。
(P5PとAST中のリシン残基アミノ基が反応してシッフ塩基(ア)を形成する反応式は図を参照。図中の破線は水素結合を示す。)
以下の図は、アによるアミノ酸Aからα-ケト酸Fへの反応を示す(A→B→C→D→E→F、各段階の巻矢印による電子の動き、AST中のリシン残基の関与、及び最終段階の試薬Xを含む)。
各反応の説明として正しいのはどれか。
2つ選べ。
(アミノ基転移反応(トランスアミナーゼ機構)の全機構図は図を参照。図中のイは、CからDへの段階に描かれた白抜き矢印が指す、プロトン化されたリシン残基側鎖アミノ基H2N^+(H)-(Lys)上の水素である。)
正解を2つ選んでください。
正答1・4
解説
正解は1と4。
アからBへの反応はP5P-Lys間のシッフ塩基(内部アルジミン)にアミノ酸Aのアミノ基が求核付加し、続いてLysアミノ基が脱離するトランスアルジミン化であり、これは付加脱離反応にあたる。
AがL-アスパラギン酸の場合、ASTによるアミノ基転移でオキサロ酢酸(F)が生成することは実際の生化学反応として正しい。
CからDへの反応でリシン側鎖イの部分(プロトン化されたLysアミノ基)は補酵素P5Pの4′位炭素へプロトンを与える酸として働いており、塩基として作用するのはBからCの脱プロトン化段階であるため、選択肢2は酸塩基の役割を取り違えている。
Fが生成する反応でXは加水分解に働く水であり過酸化水素ではないため選択肢3も誤り。
Eはアミノ基をもつピリドキサミン5′-リン酸(PMP)であり、示された構造(CH2OH基)はアルコール型のピリドキシン5′-リン酸でありEとは異なるため選択肢5も誤り。