電子移動を示す矢印で記した機構が主となって、実際に進行し、生成物が得られる反応はどれか。
1つ選べ。
(図:5つの選択肢はいずれも巻矢印(電子の動き)を付した有機反応機構の模式図。1:2-メチル-2-ブテン様アルケンへのBrによる求電子付加で水素化物イオン(H-)が移動する機構。2:ジクロロカルベン(:CCl2)とシクロヘキセンのカルベン付加反応の機構。3:ボラン(BH3)と環状アルケンのヒドロホウ素化の機構。4:シクロペンタジエンへの臭素(Br2)付加の機構。5:3-クロロ過安息香酸(mCPBA様)によるアルケンのエポキシ化を、中間体を経由する段階的な巻矢印で描いた機構。生成物としてエポキシドと3-クロロ安息香酸が得られる。テキスト化困難なため図を参照。)
正答4
解説
正解は4。
臭素の付加では、まずアルケンのπ電子がBr–Br結合を攻撃して環状のブロモニウムイオンと臭化物イオンを生じ、続いて臭化物イオンがブロモニウム環の反対側から攻撃してアンチ(トランス)付加体を与える。
選択肢4はこの電子の流れを正しく描いている。
選択肢1はHBr付加の第二段階でヒドリドイオンが攻撃する描き方になっているが、実際に求核種として働くのは臭化物イオンである。
選択肢2のカルベン付加は協奏的に進行し、図のような双性イオン中間体を経ない。
選択肢3のヒドロホウ素化はホウ素と水素が四中心遷移状態を経て同一面に付加する協奏反応で、図の電子の流れは実際と異なる。
選択肢5の過酸によるエポキシ化は協奏的(バタフライ型)の一段階反応であり、図のように中間体を経由して段階的に進む描き方は誤りである。