問330 48歳女性。
体重60 kg。
原因不明の急性腎不全で入院し、腹膜透析導入となった。
腹膜透析カテーテル挿入術を終え、入院3日目より透析液Aで腹膜透析を開始した。
入院10日目に除水効果のより高い透析液Bに変更して30分ほど経過した時点で、両下肢に広範囲にわたる皮疹と呼吸困難をともなう急激な血圧低下を認めた。
なお、入院の10日前より開始したスクロオキシ水酸化鉄チュアブル錠の服用を継続している。
透析液の組成
成分/透析液A/透析液B
イコデキストリン(g/L)|-|75
ブドウ糖(g/L)|38.6|-
塩化ナトリウム(g/L)|5.38|5.35
乳酸ナトリウム(g/L)|4.48|4.48
塩化カルシウム(g/L)|0.183|0.257
塩化マグネシウム(g/L)|0.051|0.051
浸透圧(理論値)(mOsm/L)|483|282
両下肢の皮疹を認めた直後に調べた血液検査で好酸球数が増加していた。
主治医から薬剤師への相談に対し、今回の有害事象に関連する提案として、正しいのはどれか。
2つ選べ。
正解を2つ選んでください。
正答3・4
解説
正解は3と4。
透析液Bへの変更から30分で皮疹・呼吸困難・急激な血圧低下を来し、好酸球数の増加もみられることから、透析液Bに含まれるイコデキストリンに対するアレルギー反応(アナフィラキシー)が疑われる。
まず原因物質の曝露を止めることが最優先であり、透析液BからAへ再度変更する(選択肢3)。
アナフィラキシーショックに対してはアドレナリンの投与が必須であり、本例は腹膜透析施行中で医療者の監視下にあることから、アドレナリンを静脈内投与する(選択肢4)。
スクロオキシ水酸化鉄は入院10日前から継続服用しており、透析液変更後30分での急性発症とは時間経過が合わない(選択肢1)。
透析液Bにブドウ糖を加えて浸透圧を合わせてもイコデキストリンへの曝露は続くため対処にならない(選択肢2)。
トシリズマブはIL-6受容体に対する抗体製剤で関節リウマチ等に用いる薬剤であり、アナフィラキシーの急性期治療薬ではない(選択肢5)。