β酸化による脂肪酸の代謝反応におけるβ-ヒドロキシアシルCoAからβ-ケトアシルCoAへの変換過程を以下に示す。
その変換過程について想定される反応機構に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。
(下図を参照:β-ヒドロキシアシルCoA(R-CH2-CH(OH)-CH2-CO-SCoA)が補酵素アの存在下、ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素によりβ-ケトアシルCoA(R-CH2-CO-CH2-CO-SCoA)に変換される。酵素活性部位の詳細機構図には、170番のグルタミン酸残基が158番のアミノ酸残基Xのイミダゾリル基から水素を引き抜き、Xがヒドロキシ基のHを引き抜いてヒドリドが補酵素アのニコチンアミド環(NAD+様の四級窒素を持つピリジニウム環)に移動する様子が矢印で示され、補酵素アはアデニン・リボース・二リン酸を含むジヌクレオチド構造として描かれている。)
正解を2つ選んでください。
正答1・2
解説
正解は1と2。
ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素の活性部位では、158番残基Xの側鎖(イミダゾリル基)が基質のヒドロキシ基からプロトンを引き抜き、ヒドリドが補酵素ア(NAD+)のニコチンアミド環に転移してNADHが生じる。
このイミダゾリル基を持つXはヒスチジン残基であり、隣接する170番のグルタミン酸残基がイミダゾリル基のNH部分と水素結合(脱プロトン化)して塩基性(求核性)を高め、一般塩基触媒として機能を補助している。
なお補酵素アはアデニン(プリン骨格)とニコチンアミド(ピリジン骨格)からなるNAD+でありFADでもピリミジン骨格を持つわけでもなく、ヒドリド(H-)を受容するのであって単なるプロトン受容体ではない。