図は薬物Aの水和物について昇温過程で熱重量測定(TG)及び示差走査熱量測定(DSC)を行った結果である。
薬物Aに関する記述のうち、最も適切なのはどれか。
1つ選べ。
ただし、薬物Aには水和物、無水物ともに結晶多形は存在しない。
(図:横軸 温度(℃、昇温方向)。左軸は質量変化で上が「増」・下が「減」、右軸の「吸熱」の矢印は下向き(=下向きが吸熱方向)。TG曲線(実線)はア付近で階段状に減少し、その後ウまで一定(イ付近では質量変化がない)で、ウ付近から再び大きく減少する。DSC曲線(破線)はア付近とイ付近にそれぞれ下向きの谷=吸熱ピークをもち、ウ付近からは上向き(吸熱とは逆方向)へ大きく変化する。)
正答1
解説
正解は1。
本問の薬物Aは水和物で結晶多形をもたない。
ア付近でTG曲線に明確な質量減少(結晶水の脱離に相当する重量分)が生じ、これに対応してDSC曲線にも吸熱ピークが現れることから、アの吸熱ピークは水和物からの結晶水脱離に基づくと判断できる。
イ付近ではTG曲線に質量変化がなく(脱水後の無水物のまま)DSC曲線のみ吸熱ピークを示しており、これは質量変化を伴わない現象、すなわち無水物の融解に対応する(結晶化であれば発熱ピークになるはずで矛盾する)。
したがってアでの融解やイでの結晶水脱離・結晶化という記述は誤りであり、ウを超えて生じる大きな質量減少にはDSC曲線が吸熱とは逆向き(発熱方向)へ大きく振れる変化が伴っており、気化は吸熱過程であるからこの質量減少は気化では説明できず、熱分解によるものと判断される。